毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、飯野和好さんの人気シリーズ「ねぎぼうずのあさたろう」です。第1作となる『ねぎぼうずのあさたろう その1 とうげのまちぶせ』は1999年の初版。1995年に小学館の雑誌「学習幼稚園」に連載したものに新たに描き加える形で生まれました。2008年にはテレビアニメ化もされています。
色白でまん丸顔のあさたろうは、畑育ちのピリリと元気なねぎぼうず。弱い者いじめをするやつがしらのごんべえをやっつけた後、しばらく旅に出ることにします。ところが途中、茶店で出会った怪しい浪人に峠で突然斬りかかられて…。危うし、あさたろう!
浪曲風の語り口で始まる、痛快時代活劇絵本。「二代広沢虎造風浪曲節で」なんて言われても、どう読めばいいものやら…と困ってしまう方も多いかと思いますが、そこはご心配なく。作者の飯野和好さんはインタビュー(後編)で、「真似事でいいんですよ。『何が何して何とやら~ 何が何して何とやら~』って感じで、自分なりに調子をつけてもらえばいい」とおっしゃっています。七五調を基本とした語りや“べらんめえ”調のセリフは実際に読んでみると思いのほか心地よく、読む人をスムーズに時代劇の世界へと導いてくれます。
時代劇ならではの勧善懲悪の物語が、映画のカメラワークを意識した大胆な構図で描かれています。登場人物がねぎぼうずにやつがしら(里芋)、きゅうりなど、畑でとれる野菜ばかりなのは、飯野さんが秩父の山奥の農村で生まれ育ったからだそうです。時代劇俳優ばりの、あさたろうのキリリとした眉と強い目力も魅力的。飯野さんの手書きの文字も、独特の味わいを醸し出しています。
<ミーテ会員さんのお声>
時代劇調の絵本というのは初めて読みました。息子にはちょっとわかりにくいかなとも思ったのですが、意外と楽しんでくれて、その後もその2、その3、その4と読み進めています。息子は、勇気のねぎじるが好きなようで、「ぴゅるるるー!」と回って真似をしています。パパにも読ませたら「これ面白いね!」と言っていました。続きを読むのが楽しみです。(3歳7か月の男の子のママ)
子ども時代はチャンバラごっこに夢中で、その経験が今の絵本づくりにも生かされている、とおっしゃる飯野さん。日本の文化に触れてほしいとの思いから、講演会に呼ばれると、三度笠に道中合羽の股旅姿で読み語りをされているそうです。
シリーズは9作目となる『その9 あめのつちやまきゅうべえのおもい!』まで出ており、待望の10作目は来年(2017年)1月に出版予定とのこと。タイトルは『ねぎぼうずのあさたろう その10 ゆきはこんこんわたりどり』! インタビューでは「今のところは10巻までで一区切りつけようと考えています」と語っておられましたが、どうなるのでしょうか。できればもっともっと続いてほしいものですね。
▼飯野和好さんのインタビューはこちら
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