Vol.28 『おっぱいごりら』作者・聞かせ屋。けいたろうさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は聞かせ屋。けいたろうさんにご登場いただきます。
『おっぱいごりら』と『たっちだいすき』は、僕が初めて手がけた赤ちゃん絵本です。どちらも娘とのやりとりがきっかけで生まれました。
ゴリラの絵本をつくろうと思ったのは、娘が生後4か月くらいの時、絵本の中のゴリラの顔にすごく反応したから。それと、まだ自分で起き上がることすらできない娘を見ていて、赤ちゃんの世界ってとても狭いなと思ったんですね。天井とおっぱいと身近な家族の顔くらいしか見てないよな、と。それで、ゴリラの家族の顔とおっぱいをかけあわせた絵本を思いつきました。
「まみむめも」「ぱぴぷぺぽ」「ばびぶべぼ」など、上下の唇がくっついて出る音は「両唇音(りょうしんおん)」と言って、赤ちゃんが喜ぶ音なんです。赤ちゃんはよく「ばぁ」「ぶーぶ」「まんま」とか言うでしょう。早い段階で言えるようになるし、言いたくなる音なんですね。『おっぱいごりら』には、そんな音をたくさん盛り込みました。だから、声に出して読むだけで楽しめるはずです。
娘が生まれて実感したのは、赤ちゃんを育てることの大変さ。とくに赤ちゃんとふたりきりの時間が多いと、逃がしどころがなくてきついですよね。『おっぱいごりら』にはママ、パパのほかに、ばあばも登場するんですが、そんな風にママやパパだけでなく、ばあばやじいじもかかわって、みんなで子育てしていけるといいなという願いを込めました。
娘が1歳半の時にハイタッチがブームになったんです。もう、電信柱にもタッチする勢いで(笑) ある日、絵本の中の動物がバンザイしている手にタッチしているのを見て、『たっちだいすき』のアイデアが浮かびました。絵本を読んでもらっている赤ちゃんと、絵本の中の動物達がタッチする、参加型の絵本です。読み終わったらぜひ、親子でタッチしてくださいね。
赤ちゃん絵本にもいろいろありますが、僕がおすすめするのは、後路好章さんの『だあれだだれだ』やおーなり由子さんの『ぶうぶうぶう』など、親子のふれあいを促してくれる絵本です。赤ちゃんとふたりきりだと、どんなことばがけをしたらいいのか、わからなくなってしまうこともありますよね。そんな時に赤ちゃん絵本があると、読むだけで自然に赤ちゃんとのかかわりをもつことができます。
僕は読み聞かせのプロとして、大勢の方々の前で絵本を読んでいますが、赤ちゃんへの読み聞かせの際に一番気をつけているのは、落ち着いた声で、ゆったりと穏やかに読むこと。読み手と聞き手の間に心地よい空気感をつくるのがすごく大事で、それができれば赤ちゃんは泣かないんですよ。でも家庭での読み聞かせの場合は、すでに関係性ができあがっているので、好きなように読んでもらってかまいません。一緒にめくってみたり、絵を触ったり、お話をしたりすることで、親子の絆もより深まりますよ。
聞かせ屋。けいたろうさんの絵本『おっぱいごりら』と『たっちだいすき』に直筆サインを入れていただきました!
ミーテ会員4名様に抽選でプレゼントします。
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プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
聞かせ屋。けいたろう
1982年、東京都生まれ。宝仙学園短期大学保育学科在学中に、大人向けの路上絵本読み聞かせライブをスタート。卒業後は都内で非常勤保育士として働きながら活動を続ける。2009年、保育士を辞めて“聞かせ屋”としての活動に専念。延べ4ヶ月の渡米公演を経て、読み聞かせ、絵本講座、保育者研修会で日本全国を駆け回る。2014年に『どうぶつしんちょうそくてい』(絵:高畠純、アリス館)で絵本作家デビュー。『まいごのたまご』(作・絵:アレックス・ラティマー、KADOKAWA)では初めて翻訳に挑戦した。一児の父。