Vol.4 『いろいろ ばあ』作者・新井洋行さんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は新井洋行さんのご登場です。
僕はいつも絵本をつくる時、「感覚的な快感が呼び起こされること」をもっとも大事にしています。『いろいろ ばあ』は、編集者さんと好きな色の話で盛り上がったことをきっかけにつくり始めました。お互いに緑色が好きだということで盛り上がり「それなら緑色をテーマに絵本をつくりましょう」と話していたのです。それから色々な経緯があって、絵の具がチューブから飛び出すお話になりました。
きっかけとなった緑色も出てきますが、本当はモチーフやテーマはあまり重要ではありません。絵の具がチューブから「ぶりゅ!」っと飛び出して来る感覚的な気持ちよさこそが、この絵本の根幹になっています。
僕は、長女が生まれた時に会社を辞めて、絵本作家を目指し始めました。スタートが0歳の娘のための絵本づくりだったので、赤ちゃん絵本をつくるのが得意な作家になったのかもしれません。
娘が赤ちゃんだった頃に一番感じたのは、2歳くらいまでの赤ちゃんは自分とはまったく違うということ。当然かもしれませんが、僕達大人が当たり前過ぎて日頃意識しないようなすべてのことを、赤ちゃんは知らないのです。絵本が読むものだということも、もちろん知りません。大人が手に持った時に口から音を出す、絵が描いてある紙の束だと思っているのではないでしょうか。
僕は赤ちゃん絵本をつくるのが大好きですが、赤ちゃんのことを本当に理解することはできません。大人もそうであるように、きっと赤ちゃん一人ひとりにもそれぞれ個性や好みがあるかと思います。絵本を読むひとときは、赤ちゃんと一緒に過ごしながら、同じものを見て、もしかしたら同じことを感じられるかもしれない貴重な時間。似た本に偏らず、色々な種類の絵本を読んでみるといいのではないでしょうか。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
新井 洋行(あらい ひろゆき)
1974年、東京都生まれ。絵本作家、デザイナー。主な絵本に『れいぞうこ』(偕成社)、『いろいろ ばあ』(えほんの社)、『みず ちゃぽん』(童心社)、『うんちでるかな?』(講談社)、『かくかくかっくん』(学研)、『ころころぽーん』(ほるぷ出版)、『むすんでひらいて』(瑞雲社)、『どんどこどん!』(ポプラ社)などがある。