イチ押し絵本情報

犬の視点で見てみると…(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.379)

2022年3月17日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 犬の視点で見てみると…

今回ご紹介する絵本は、きたやまようこさんの人気作『ゆうたはともだち』です。初版は1988年。1989年に講談社出版文化賞絵本賞を受賞したロングセラーシリーズ「ゆうたくんちのいばりいぬ」の第1作です。

いばり顔の犬じんぺいは、飼い主の男の子ゆうたのことが大好き。おまえ笑う。おれしっぽふる。おまえなでる。おれなめる。おまえ本が好き。おれ骨が好き。違うところがいっぱいだけれど、わかり合える友だちです。

見開き

ふたりの友情を、犬の視点によるユニークな語り口で描いた絵本です。実は犬の名前が「じんぺい」であることは、1作目では明かされていません。2作目『ゆうたとさんぽする』の冒頭で「おれの名前じんぺい」と自己紹介しています。

じんぺいはシベリアンハスキー。作者のきたやまさんが飼っていた愛犬「チェス」の子犬時代を思い出して描いたそうです。子犬の頃のチェスはとてもやんちゃで、きたやまさんは1年間、チェスのために育児休暇を取ったのだとか。大変だったけれど、あの1年間があったからこそ「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズができた、とミーテカフェインタビュー(後編)で語っています。

おれ犬、おまえ人間…じんぺいは、いつも怒ったような目つきで、上から目線でぶっきらぼうに話します。凛とした雰囲気で、プライドも高そうです。でも言っていることはとてもシンプルで、ゆうたが好きという気持ちもまっすぐに伝わってきます。

きたやまさんはインタビューで、「絵本を通じていろんな視点から見る楽しさを味わってほしい」ともおっしゃっています。じんぺいの視点で、いつもとはちょっと違うことを感じてみませんか。

<ミーテ会員さんのお声>
最近のお気に入りは「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズ!『ゆうたはともだち』『ゆうたとさんぽする』『ゆうたのゆめをみる』を読んでますが、犬を飼ってる方、好きな方には特におすすめです。いばり犬だから、自分のことを「おれ」、ゆうたくんのことを「おまえ」と呼んでるのだけど、うちのチワワも同じようなこと思っているかも~と思うところが何か所も。「おまえ本が好き。おれ骨が好き」や「おまえ、ふとんの中で寝る。おれ、ふとんの上で寝る」などのくだりに共感しちゃいます。(2歳5か月の男の子のママ)

小さい子どもからお年寄りまで、幅広い年齢層に人気がある「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズ。2018年にはシリーズ30周年を記念して、『ゆうたのおじいちゃん』『ゆうたのおばあちゃん』が出版されています。別巻「じんぺいの絵日記」2作を含め、シリーズは全13作。通しで読んで、じんぺいの独特の口調と鋭い観察眼を楽しみましょう。

▼きたやまようこさんのインタビューはこちら
「絵本を通して自分や他人を知る」


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