毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、アメリカの作家パトリック・マクドネルさんの『おくりものはナンニモナイ』です。初版は2005年、原題は『The Gift of Nothing』。日本でも2005年に谷川俊太郎さんの翻訳で出版されています。
大好きな犬のアールに贈り物をしたいと考えた猫のムーチ。でも、何でも持ってるアールに、何をあげたら喜ぶのかな? うんと考えた末に思いついたプレゼントは「ナンニモナイ」。そこでムーチは「ナンニモナイ」を探しに出かけますが…。
この絵本に登場するアールとムーチは、パトリック・マクドネルさんが新聞で連載していた漫画『Mutts』で生まれたキャラクターです。『Mutts』は20か国で出版され、『スヌーピー』の生みの親チャールズ・シュルツさんから「時を超えた最高の作品!」と賛辞を贈られたという作品。アールもムーチも、パトリック・マクドネルさんにとっては非常に描き慣れたおなじみのキャラクターだったというわけです。
絵本の舞台は冬。窓の外には雪がしんしんと降っています。冒頭に「きょうは いつもとちがう ひ」とあるので、クリスマスかもしれませんし、アールの誕生日という可能性もあるでしょう。アールへの贈り物をあれこれと考えたムーチは、早々に「ナンニモナイ」をあげればいいんだ、と思いつき、探し歩きます。
テレビを見ながら「見たいものがナンニモナイ」と言うおじいさん、お店にはたくさんのものが売っているのに「買いたいものはナンニモナイ!」と言うおばあさん…どちらも何だか不満気な様子です。世の中は様々な情報やモノであふれているのに、彼らはなぜ満たされないのでしょう。そんな疑問を抱きながら、ムーチは「ナンニモナイ」を探し続けます。
ムーチが見つけて大きな箱に詰め込んだ「ナンニモナイ」とは? そして、それに対するアールの反応は? 答えはぜひ絵本を手にとって確かめてみてください。本当の豊かさや、すぐそばにある幸せについて考えさせてくれる、大人にこそ響く一冊です。
<ミーテ会員さんのお声>
『おくりものはナンニモナイ』は、モノがあふれている今にぴったりな本。何をもらうかよりも、誰とどういう風に時間を過ごすかが大切なんだなぁ、と。
娘には伝わったのかわかりませんが、じっと聞いていました。(5歳5か月の女の子のママ)
姉妹作『ハグタイム』は、世界をまるごと抱きしめようとする子猫のジュールが主人公。どちらも贈り物にもおすすめですよ。
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