イチ押し絵本情報

くまの留守中に女の子が…(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.363)

2021年11月18日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 くまの留守中に女の子が…

今回ご紹介する絵本は、ロシアの文豪レフ・トルストイさんの文、同じくロシアの絵本作家ユーリー・バスネツォフさんの絵による『3びきのくま』。日本では小笠原豊樹さんの翻訳で1962年に出版されました。

森で迷子になった女の子が、誰もいない小さな家を見つけて中に入ります。食堂には大きなお椀、中くらいのお椀、小さなお椀に入ったスープがありました。女の子は、小さなお椀のスープをすべて飲んでしまいます。隣の寝室には大きなベッド、中くらいのベッド、小さなベッドがありました。女の子は小さなベッドで眠ってしまいます。そこへ、散歩に出かけていた3匹のくまが帰ってきて…。

見開き

イギリスに古くから伝わる民話をもとにしたお話。ロシア人の手により再話・翻案されたため、お父さんぐまがミハイル・イワノビッチ、お母さんぐまがナスターシャ・ペトローブナ、くまの子がミシュートカと、ロシア風の名前がつけられています。

物語は、女の子が森の中の小さな家に入るところから始まりますが、すぐ次の見開きで、そこがくまの家だということが読者に明かされます。女の子はその後も、くまの家だなんてまったく知らないまま、好きなように過ごすのですが、読者はその様子を少しハラハラしながら見守ることになるのです。

スープのお椀も椅子もベッドも、お父さんぐま用の大きなものと、お母さんぐま用の中くらいのもの、くまの子用の小さいものと、3つずつ揃っています。それらが出てくるたびに、「大きな〇〇は、ミハイル・イワノビッチの〇〇です、中くらいの〇〇はナスターシャ・ペトローブナの○○です…」といちいち説明するところがユニーク。読み聞かせするママ・パパは、言い慣れないロシア語の名前に四苦八苦するかもしれませんが、せっかくですからそのあたりも含めて楽しみましょう。

女の子がくまの子の小さなベッドで眠ってしまった後、散歩に出かけていた3匹のくまがおなかを空かせて帰宅します。部屋を荒らされたことを知って憤るくまの台詞も、どのくまが言ったかによって、大・中・小と文字の大きさが変えてあります。読み聞かせの時は、お父さんぐまは大きくて低い声、くまの子は小さくて高い声、などと変化をつけてみるのもおすすめですよ。

最後は、くまに気づいた女の子が慌てて窓から逃げて、捕まらないままおしまい。くまが女の子にかみつくこともなければ、女の子とくまが仲良くなることもありません。女の子が無事に逃げられてめでたしめでたし、と考えるか、見知らぬ女の子の傍若無人な振る舞いに怒りを覚えるか…見方によって捉え方も違ってくるお話です。

<ミーテ会員さんのお声>
お昼寝の前とねんねの前に読みました。何冊もの絵本の中から何回もこの本を選んで、「よんで!」と持ってきます。くまの絵を指差すと「パパとママとぼくみたいだね!」とうれしそう。お父さんぐまとお母さんぐまとくまの子の声を少し変えて呼んであげると、ニコニコと笑っていました。(3歳1か月の男の子のママ)

『3びきのくま』は、様々な作家による別バージョンが読めるのも魅力のひとつ。「キーワードから探す」に「3びきのくま」と入れて検索してみると、何冊も出てきます。黄色に赤い題字がポップな印象のポール・ガルドンさん版では、女の子が小憎らし気に描かれていますが、くまと人間の立場を逆にした文字のない絵本『もりのおきゃくさま―「三びきのくま」のさかさまのおはなし』を読むと、留守中の家を荒らしてしまう行為もなんだか無邪気に感じられます。見比べてみると楽しいですよ。


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