イチ押し絵本情報

これぞクリスマス!な王道絵本(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.315)

2020年12月10日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 これぞクリスマス!な王道絵本

今回ご紹介する絵本は、アメリカの神学者クレメント・クラーク・ムーアさんの詩に、スイス出身の絵本作家ロジャー・デュボアザンさんが絵をつけた『クリスマスのまえのよる』です。原書『The Night Before Christmas』は1954年初版。日本ではこみやゆうさんの翻訳で2011年に出版されました。

クリスマスの前の夜、シャンシャン…と外から鈴の音が聞こえてきます。窓を開けたパパの目に飛び込んで来たのは、トナカイが引くそりに乗ったサンタクロース。そりが屋根にふんわりと降りたつと、サンタクロースが煙突を通って暖炉から飛び出してきて…。

文章は、1823年にクレメント・C・ムーアさんが病気がちだった娘のために書いたという詩。『聖ニコラスの訪問(A Visit From St. Nicholas)』というタイトルがありましたが、冒頭の一節から『クリスマスの前の夜(The Night Before Christmas)』として広く知られるようになったそうです。

詩の中には、サンタクロースの姿が詳細に描かれています。白いあごひげに、ぽっちゃりとした体で、大きなプレゼントの袋をかついでいること。空飛ぶトナカイの引くそりに乗ってやってくること。現在のサンタクロースのイメージは、この詩をきっかけに世界中で知られるようになったと言われています。

じつは、この詩をもとに描かれた絵本は他にもいくつもあります。『クリスマスのまえのばん』というタイトルだけでも、ターシャ・テューダーさんの描いたものやウィリアム・W. デンスロウさんリスベート・ツヴェルガーさんの描いたものがありますし、『あすはたのしいクリスマス』『サンタクロースとあったよる』『聖ニコラスがやってくる!』『おとうさんねずみのクリスマスイブ』などの絵本も同じ詩をもとにした絵本です。絵のテイストや翻訳の違いで印象がかなり変わるので、読み比べてみるのも楽しいでしょう。

ロジャー・デュボアザンさんの絵の『クリスマスのまえのよる』の何よりの特徴は、縦34cm、横16cmという縦長の版型。なんとこれは、イブの夜、プレゼントを待ちわびる子ども達が用意した靴下に入るようにとデザインされたのだとか。赤、黄、緑のクリスマスカラーを中心とした鮮やかな色使いと、縦長の版型を生かした構図も魅力的。ツリーに飾られたオーナメントが賑やかに描かれた見返しにも、心が躍ります。クリスマス絵本の定番として、これからも長く愛されるであろう一冊です。

<ミーテ会員さんのお声>
子どもがクリスマスのうたを歌い続けているので、私もクリスマスの絵本を読んでみる。サンタクロースが家に来て帰って行くまでが描いてある。 「うちには煙突ないけど、どうやってサンタさん来たんだろうね?」と聞いてみたら、煙突がないという事実にびっくりしていた。集合住宅の一番上の階なので、煙突がすぐ上にあると思っていたらしい。暖炉もないのに、なんで煙突あるんだよ! 「窓を開けて入ってきたんじゃない?」と言うので、「そうだねー」と返事しておいた。(4歳1か月の男の子のママ)

『ごきげんならいおん』の絵でも知られるロジャー・デュボアザンさんは、『クリスマスにはおひげがいっぱい!?―ほんとのサンタさんの話』『サンタクロースのはるやすみ』でもサンタクロースを描いています。今の時期なら、『しろいゆき あかるいゆき』もおすすめですよ。

▼こみやゆうさんのインタビューはこちら
「幸せとは何か? 絵本を通じて伝えたい」


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