毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、岸田衿子さんの作、中谷千代子さんの絵による『ジオジオのかんむり』。1960年に月刊誌「こどものとも」に掲載され、78年にハードカバー化しました。小学校の国語や道徳の教科書にも採用されてきたロングセラーです。
ジオジオは、ライオンの中でも一番強い王様でした。最近は白髪が生え、目もよく見えなくなってきて、誰かとゆっくり話がしたくなっていました。そこに、卵を失った灰色の鳥がやってきて…。
誰からも恐れられる暮らしにつまらなさを覚えていたジオジオの前に、6つあった卵をすべて失った母鳥がやってきました。強くて大きなライオンと小さく弱い鳥。対極にあるふたりは、同じように心に寂しさを抱えていたのです。
冠の中に卵を産ませるというのは、ジオジオによる鳥へのちょっとした親切だったのかもしれません。ただ、卵がかえるまでの間ジオジオはゆっくり歩き、じっと木の下で雨宿りをし、寝る時も卵と鳥と一緒に過ごします。時が経って卵が孵化して育った時、最初の時には思ってもいなかったような幸せな時間が、ジオジオに訪れるのです。
寂しさやうれしさを分かち合える相手がいることの大切さや幸せが、岸田衿子さんのやさしく丁寧な文によって、しみじみ伝わってきます。読み聞かせる年齢によって、受け止め方に変化があらわれる作品です。間をあけて何度も読み聞かせてみるのもいいかもしれません。
絵を手がけた中谷千代子さんの、絵本デビュー作です。岸田さんとは学生時代からの友人だそう。福音館書店のホームページのコラム「絵本作家の誕生日」によると中谷さんは、ジオジオの造形について「『年とったオーケストラの指揮者とか、ピカソのような眼つきの顔にしたら』という岸田さんの言葉から『王者の風格がある、仕事のために戦いぬいた年老いた芸術家』というイメージを得て」描かれたそうですよ。
同じくおふたりが作・絵を手がけた『かばくん』も、ロングセラー&名作ピックアップでご紹介しているので、ぜひのぞいてみてくださいね。
<ミーテ会員さんのお声>
お兄ちゃんは『ジオジオのかんむり』の強い王様に憧れて、ばあばにピカピカの冠をつくってもらい、かぶってはあれこれ乗せて大喜び♪ 最近怒ってばかりだけど。まだ抱っこが好きな3歳児。かわいいなぁ。(1歳0か月の女の子、3歳4か月の男の子のママ)
続編に幼年童話『ジオジオのたんじょうび』などがあります。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
無料会員登録後は、過去の「絵本子育て相談室」など、
様々な絵本情報が読み放題!
ぜひミーテにご登録ください♪