イチ押し絵本情報

パンツのはき方、教えます(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.249)

2019年8月29日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 パンツのはき方、教えます

今回ご紹介するのは、岸田今日子さんの文、佐野洋子さんの絵による絵本『パンツの はきかた』。2007年に月刊絵本「こどものとも年少版」として発行され、2011年にハードカバー化された人気作です。

トイレをひとりで済ませたブタの女の子が、今度はパンツをひとりではこうとがんばります。「パンツはね はじめに かたあし いれるでしょ」「それから もう かたっぽ いれるでしょ」と、パンツのはき方を丁寧かつユーモラスに描きます。やっとはけたと思ったら…。

見開き

パンツのはき方なんて、わざわざ説明してもらわなくても…なんて、大人は思ってしまうかもしれません。でも、オムツを卒業したばかりの小さな子にとってはどうでしょう。片足ずつパンツの穴に入れていくのは、意外と難しいこと。子どもにとっては一大イベントなのです。

この絵本の主人公であるブタの女の子は、まさにパンツ初心者です。「こんなこと簡単よ」とばかりにすまし顔で片足を入れたかと思ったら、次のページではちょっと困り顔。両足を入れ終えてきゅーっと上に引っ張り上げるシーンでは、にんまり得意顔。真剣に取り組む姿と、ページごとにころころと変わる表情がなんともかわいらしく、思わず笑みがこぼれます。

ラストは「あーあ せっかく はいたのに うらがえし」と苦笑い。パンツの達人になるまでには、もう少し修業が必要なようです。巻末には「パンツのはきかた」の楽譜もついていて、歌って楽しめるようになっています。

トイレトレーニング中の子や、ひとりで着替える練習をしている子に読むと、一生懸命なブタさんに共感して、自分もできるかも…とやる気が湧いてくることも。パンツをはくという、なんてことのない動作ひとつだけでも、子どもの成長を実感することができるんだ、ということを教えてくれる絵本でもあります。

<ミーテ会員さんのお声>
今までは「おしっこ!」と叫ぶと、慌ててトイレに連れて行って、パンツを脱がして座らせていました。トイレに行きたくなったら、自分でパンツ脱いで座って、終わった後も自分でパンツはいてくれたらいいなぁ、と思っていた時に見つけた絵本です。ブタさんがエイッとパンツをはくのを見たら、すぐに覚えてくれて、朝の着替えも覚えた言葉をつぶやきながら自分でやれました。がんばったね!(2歳7か月の女の子のママ)

作者は『かばくん』などでおなじみの絵本作家・岸田衿子さんの妹で、女優、声優の岸田今日子さん。『パンツの はきかた』が月刊絵本として刊行される前年、2006年の12月に亡くなられました。絵は『100万回生きたねこ』の佐野洋子さん。おふたりは親友だったそうで、他にも『ちょっとまって』という絵本を一緒に手がけています。


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