イチ押し絵本情報

もしも、大きな大きな木があったら?(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.246)

2019年8月8日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 もしも、大きな大きな木があったら?

今回ご紹介する絵本は、佐藤さとるさんと、村上勉さんによる『おおきなきがほしい』。1971年に出版されたロングセラーです。

かおるくんは「大きな木がほしいなあ」と、ため息をつきます。大きな木があったら、はしごをつけて小屋を立てて見晴らし台もつくろう! リスや小鳥も訪ねてくることでしょう。季節それぞれに、かおるくんの想像はふくらみます。

見開き

もし、大きな大きな木があったら? そんな問いかけを子ども達にしたら、どんなことを思い描くでしょう。どんな木かな? 何ができるかな? 主人公のかおるくんが想像した大きな木には、子ども達の想像が、夢が、いっぱい詰まっています。

かおるくんの木の幹は、家族4人で抱えるのがやっとなくらい太く、高さは先が見えないほどです。幹や枝にしばりつけたはしごをどんどん登っていくと、小屋や見晴らし台が現れます。木には、リスやカケス、ヤマガラが住んでいて、友だちのように交流できるのです。

かおるくんの想像が膨らむのに合わせて、絵本のページが縦開きになります。縦の長さを生かして、かおるくんは木をどんどん登っていきます。話を聞く子ども達も、一緒に高い高い木を登っているような気分を味わえるはず。

話の後半にも大きな楽しみが待っています。大きな木につくった小屋の中で、かおるくんは得意のパンケーキを焼きます。夏には小屋の中でセミが鳴き、秋には紅葉した葉が舞い込み、冬は妹とストーブにあたりながらリスと遊び、春には木に花が咲きます。季節感あふれる美しいシーンが続きます。

また小屋の中は、詳細に描かれているので、見るたびに新しい発見があります。季節ごとの部屋を見比べて、冬の掛布団が違うこと、人形のピエロの位置が動いていること、文には登場しない生き物がたくさんいることなどに気づくことでしょう。

次第に子ども達は、かおるくんの木を楽しむだけではなく、自分の木だったら…と想像し始めるのではないでしょうか。想像することの楽しさ、自由さ、豊かさが伝わるからこそ、世代を超えて読まれ続けているのでしょう。

<ミーテ会員さんのお声>
ママが小さい頃に大好きだった絵本『おおきなきがほしい』。上の子がこれだけボリュームのある本を読んで楽しめるようになってきたことがうれしい。その間、下の子は少し退屈で蚊帳の外。でも、家の中にとまっているセミや、リスを見つけては指差して教えてくれる。下の子なりに楽しんでいるよう。(2歳11か月と5歳11か月の男の子のママ)

2017年に亡くなった作者の佐藤さとるさんは、『だれも知らない小さな国』など、児童文学の第一人者として知られています。文字が多めの作品ではありますがお話に入りやすいので、絵本から童話への移行期にもおすすめしたい一冊です。


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