イチ押し絵本情報

電車の旅に出発進行!(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.245)

2019年8月1日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 電車の旅に出発進行!

今回ご紹介する絵本は、乗り物絵本の第一人者と呼ばれる山本忠敬さんの代表作『しゅっぱつしんこう!』。1982年に「こどものとも年少版」として発行され、1984年にハードカバー化されたロングセラーです。

お母さんとみよちゃんは、おじいさんの家に行くために、大きな駅から特急列車に乗り込みます。山麓の駅で急行列車に、山の中の駅で普通列車に乗り換えて、山奥の小さな駅に到着。駅にはおじいさんと友だちが迎えに来ていました。

見開き

表紙に描かれている特急列車は、上野駅-青森駅間を運行していた“L特急はつかり”。「こどものとも年少版」の折り込み付録「絵本のたのしみ」によれば、作者の山本忠敬さんはこの絵本をつくるにあたって、編集者とともに取材旅行をされたそうです。

取材旅行では、仙台から特急はつかりに乗り、盛岡で山田線の急行に乗り換えて茂市駅まで行き、そこから岩泉線に乗って、終着駅のふたつ手前の浅内駅で下車。「この絵本は、この取材の旅での私の心象の風景と時間の中を走っている列車の架空の旅のお話」と断り書きが入っていますが、取材旅行でたどった行程を参考に描かれていることがわかります。

子ども向けの絵本ですが、列車の絵には甘さがありません。精緻な描写はリアリティを生み出し、読む人を疑似的な旅へと誘います。奥に新幹線が見えたり、鉄橋で電気機関車とすれ違ったり、最後の駅に着く前にトンネルを通ったりと、鉄道ファンが喜ぶシーンも満載。切符にはさみを入れる改札や、駅のホームのお弁当屋さん、急行列車に手を振る牛を連れた少年など、昔ながらの風景も味わいがあります。

文章が短いので、小さいうちから楽しめるのもうれしいポイントのひとつ。鉄道マニアなお父さんなら、「これは200系と言って、東北・上越新幹線の初代車両だよ」なんて解説してくれることでしょう。最初の駅のシーンに描かれている、ホームを足早に移動する人の後ろ姿にもご注目。Tシャツの背中には、赤い車と「ZIPUTA」の文字が描かれています。『しょうぼうじどうしゃ じぷた』の絵でおなじみの山本忠敬さんならではの遊び心に、なんだか心が躍ります。

<ミーテ会員さんのお声>
「しゅっぱつしんこう!」で手をあげてくれる。 ガタンゴトンと体を揺らしながら。 飛行機を見つけたり、散歩してる犬を見つけたり、新幹線も見つけてうれしそう! 「赤い電車はどっち?」って指差しもかんぺき。牛を見つけると口をパクパクして、トンネルではちょっとこわそうな顔をしてみせたり。絵本の世界を楽しんでる!(1歳4か月の男の子のママ)

2016年には山本忠敬さんの生誕100年を記念して、『とっきゅうでんしゃ あつまれ』『でんしゃがはしる』が特別限定復刊されました。興味のある方はぜひ図書館などで探してみてくださいね。


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