毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、2011年に出版された『ちくわのわーさん』。岡田よしたかさんのたべもの絵本シリーズの第1弾で、第3回ようちえん絵本大賞と第3回リブロ絵本大賞を受賞した人気作です。
ぴゅうぴゅうと口笛を吹きながら歩く、ちくわのわーさん。お昼寝したり、マカロニと踊ったり、こいのぼりになろうとしてみたり、巻き寿司さんの服を着てみたりと、あちこち道草しながらも向かう先は…。
表紙には、楽しそうに口笛を吹きながら、道の真ん中を歩いているちくわの姿。わーさん、堂々の登場です。擬人化した食べ物が絵本に登場する場合、たいていは顔が描かれているものですが、わーさんには目も鼻もありません。ちくわの穴が口のように見えますが、明らかに他の絵本の擬人化のされ方とは違います。でも、わーさんのたたずまいを見ていると、このあたりが顔で、このあたりが腰なんだな、というのがわかります。関西弁のリズミカルなセリフとの掛け合わせで、目鼻がないのに表情豊かに見えてくるから不思議です。
ちくわが主人公というだけでもシュールなのに、わーさんの行動がまたとにかくシュール。スパゲティーとマカロニとともに「ピュウ ピュウ ピュウ あ そーれ にょろにょろ ピュウ」と踊りまくったかと思ったら、ドーナツみたいに丸くなろうとがんばってみたり、こいのぼりにお願いして仲間に入れてもらおうとしたり…奇想天外な展開の連続に、思わず笑ってしまうことでしょう。
極めつけは巻き寿司さんとのやりとり。海苔の服と中に詰まった具をわーさんに貸してしまった巻き寿司さんの、なんだか切なくなるような姿は、ぜひとも絵本を手にとってお確かめください。
作者の岡田よしたかさんは、インタビュー(後編)の中で、最初から意図して絵本にメッセージを盛り込むようなことはしない、と語っておられます。「こちらがあえて『育もう』としなくても、子どもが読んで楽しかったら、何かが育まれていると思っています」。気負わず気楽に、のんびりゆったり、わーさんの世界を親子一緒に楽しみましょう。
<ミーテ会員さんのお声>
親子ともに『ちくわのわーさん』という絵本が最近のお気に入り。めずらしくパパが選んだ絵本です。本屋さんで、数ある絵本の中から「これはやばい!」と大絶賛して即決したのです。なんというか、斬新。主人公が「ちくわ」っていうシュールさ。哀愁ただよう「わーさん」の絵。大人向けなのでは…と疑ったけど、表紙に書いてある「ようちえん絵本大賞」っていう言葉を信じて買ってみたら…娘、大ウケ!!!
ちくわが巻き寿司に海苔と具を借りて、巻き寿司になりきるシーンで、「くるくるまきまきとことこぴょん♪」というセリフに合わせて、くるくる回ってぴょんっと飛び跳ねるのがすごく好きらしく、このフレーズを口ずさむと、寝転んでても飛び起きて回り出します。かわいすぎるので、ビデオにもおさめました(笑)(1歳6か月の女の子のママ)
『うどんのうーやん』、『こんぶのぶーさん』といったお仲間に加えて、新たにヒロイン『さくらもちのさくらこさん』が新刊として登場。あわせてチェックしてみてくださいね。
▼岡田よしたかさんのインタビューはこちら
「子どもが絵本を読んで、ただ『楽しい』と思ったなら、それで十分」
※『ちくわのわーさん』については後編で紹介
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