イチ押し絵本情報

きょだいなもので、100人の子どもが遊んだら!?(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.218)

2019年1月24日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 きょだいなもので、100人の子どもが遊んだら!?

今回ご紹介する絵本は、長谷川摂子さんが作、降矢ななさんが絵を手がけた『きょだいな きょだいな』。1988年に月刊誌「こどものとも」に掲載され、1994年に出版されたロングセラーです。

「あったとさ あったとさ ひろいのっぱら どまんなか きょだいなピアノが あったとさ」。子どもが100人やってきて、その上でおにごっこ。巨大なせっけんや巨大な電話、巨大な扇風機など、巨大なものが次々に現れて…。

見開き

「あったとさ あったとさ…」。一度聞いたら忘れられない、リズミカルなことばのくり返し。そして一気に「きょだいなピアノ」が出てきて100人の子ども達が遊び始めるテンポのよさ。このリズムとテンポで、お話を聞く子ども達はあっという間に物語の世界へと連れて行かれます。

 

100人の子ども達が巨大なものと遊び始めると、驚くようなことが起こります。ピアノの上で鬼ごっこをすればあちこちから素敵な音が聞こえ、えんま大王の受付に電話がかかり、巨大な泡だて器で空をかき混ぜたら雲が湧いて雨が降ってきます。普段の生活で見かけるものが巨大になったら、壮大で奇想天外なお話が飛び出してくるのです。作の長谷川摂子さんは「こどものとも」の折り込みふろくの中で、「『あったとさ』という言葉には現実を超えたとんでもないものを招きよせる不思議な力があるのかもしれません」と書いています。

巨大な何かと100人の子ども達というしかけ自体がとても強力です。聞き手は誰しも、他にどんな巨大なもので、どんな風に遊べるかなと想像するのではないでしょうか。そしてこの絵本の一番の魅力は、想像して楽しんでいるのは、話を聞いている子ども達だけではなく、作者のおふたりもそうなのではないかと感じられること。「巨大なピアノがあったらどうする? せっけんなら?」と、作者が想像の遊びに誘いかけているよう。絵本というしかけの中で遊んでもらっているような印象が残るのです。

降矢さんは、ミーテカフェインタビューの中で、子どもは絵もよく見ているので「絵本の中に潜んだ“遊び”の部分を絶対見逃さない」、「こんな風に描いたら絶対面白くなるぞ!」と思い、自分自身が面白がって絵を描いた時は、きっと読者にも伝わっているはず、と『きょだいな きょだいな』の各ページに配したキツネを例に挙げて語っています。

そして奇想天外な世界で心ゆくまで遊んだ子ども達は、最後のページでママ・パパの元へと戻ります。だからこそ、子ども達は安心して「もう1回!」と物語の世界に飛び立っていけるのでしょう。

<ミーテ会員さんのお声>
今日は久々に『きょだいなきょだいな』を読みました。これは、お姉ちゃんの卒乳ブック。次女の妊娠が発覚してお姉ちゃんの卒乳をがんばっていた時に、何度も何度も毎日毎日延々と読んで寝かしつけをしていた絵本なのです。ひどい時は、一晩で30回くらい読んで、私はすっかり暗記してしまいました。

初日は泣いて暴れたけど、2日目からはこの絵本のおかげでなんとか泣かずにがんばっていましたっけ。どのページにも必ずキツネがいることに気付いて、いちいち指差して「キツネ!」と言って楽しんでいたのは今も健在。一番最後のページで、「ここにはキツネいないね~。どこ行ったんだろうね~」と言って終わるのも同じ。なんだか懐かしい気持ちになりました。(3歳0か月と7か月の女の子のママ)

こちらは大型絵本もあります。巨大なものの巨大さがより伝わってきますよ。また、同じおふたりが手掛けた絵本『めっきらもっきら どおんどん』ロングセラー&名作ピックアップでご紹介しています。こちらもあわせてどうぞ。

▼長谷川摂子さんのインタビューはこちら
「子どもとの絵本の時間は 人生のゴールデンタイム」

▼降矢ななさんのインタビューはこちら
「子どもは必ず見つけてくれる 絵本の中に潜んだ“遊び”」
※『きょだいな きょだいな』については後編で紹介


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