毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、ポーランド出身の絵本作家マイケル・グレイニエツさんさんの絵本『お月さまってどんなあじ?』です。原書の初版は1993年。日本では1995年に翻訳出版され、翌96年に日本絵本賞翻訳絵本賞を受賞しています。
お月さまってどんな味なんだろう。甘いのかな。しょっぱいのかな。動物達は月を見ながら、いつもそう思っていました。ある日、小さなカメが一大決心をします。一番高い山に登って、お月さまをかじってみることにしたのです。ところが、山のてっぺんまで行ってもお月さまには届きません。そこでカメはゾウを呼んで、自分の背中の上に立たせますが…。
カメの上にゾウ、ゾウの上にキリン、キリンの上にシマウマ、さらにライオン、キツネ、サル、ネズミ…と、動物達がどんどん積み重なっていく様が、見た目にも楽しく描かれています。お月さまはそんな動物達の様子を、夜空から余裕の笑みで見下ろしています。そして、まるでゲームを楽しむかのように、動物達が近づくたび、ひょいっと上に逃げるのです。
物語の展開としては『おおきなかぶ』風のパターンですが、夜空に輝く月と、月へと手を伸ばす動物達という上下の構図にすることで、オリジナリティあふれるユニークな作品になっています。積み重なった動物達は、気を抜いたらぐらっと倒れてしまいそうな雰囲気。あと少しのところで動物達から身をかわすお月さまの姿もユーモラスです。
和紙のような風合いの味わいのある絵も、この絵本の大きな魅力のひとつ。作者のマイケル・グレイニエツさんはインタビューで、制作秘話を明かしてくださっています。
「ぼこぼこした紙に絵を描いて、絵の向こう側からライトを当てながら写真を撮りました。そうすることで、影が出るんです。その写真をスキャンして、原画として使いました」
最後は、お月さまが油断した隙を見て、ネズミがお月さまをパリッとかじります。気になるそのお味とは…? 結末はぜひ絵本を手に取ってご覧ください。
<ミーテ会員さんのお声>
いろんな動物達が出てきて、どんどん上に乗っかっていくのが楽しかったようです。最後のパリッとお月さまをかじるシーンでは、絵本に手を伸ばして自分もかじるマネをします。やわらかな素材感の絵がすてきで、私にとってもお気に入りの一冊です。(2歳8か月の女の子のママ)
月の美しい夜、お月さまの味を親子であれこれと想像しながら読むと、楽しい気分になれます。最後のページのサカナのひとことも印象的。初版発行から四半世紀経た今もまったく色あせない、夢のあるお話です。
▼マイケル・グレイニエツさんのインタビューはこちら
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