毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、岸田衿子さんの文、堀内誠一さんの絵による絵本『かにこちゃん』です。もともとは、読者直販の絵本シリーズ「からーぶっくふろーら」の一冊として、1967年に世界出版社から刊行された絵本でしたが、約40年の時を経て、2008年にくもん出版より加筆・修正の上で復刊されました。
主人公は海辺に暮らす赤いカニ、かにこちゃん。打ち寄せる波しぶきや燃えるような赤い夕陽など、魅力あふれる絵で、日の出から夕暮れまでのかにこちゃんの一日を描きます。
作者は『かばくん』の岸田衿子さん。『かにこちゃん』も『かばくん』も、主役となる生き物の一日を、美しくリズミカルな文章でシンプルに綴っている点は共通していますが、動物園が舞台の『かばくん』に他の動物や人間が登場するのに対して、砂浜が舞台の『かにこちゃん』には、仲間のカニしか出てこないので、赤ちゃんへの読み聞かせにも適しています。
「しゃぷしゃぷ ぴしゃぴしゃ」「どどどど ざぶーん」という波の音も楽しいのですが、何より愛らしく響くのは「すこ すこ すこ すこ」というカニの足音。大きなハサミを振り振り横歩きする姿とぴったりとはまって、何ともユーモラスです。
絵は『ぐるんぱのようちえん』や『こすずめのぼうけん』などでおなじみの堀内誠一さん。かにこちゃんをクリッとした目と丸いほっぺでかわいらしく描きつつ、美しい色使いで海辺の様子を詩情豊かに表現しています。とくに印象的なのは、燃えるような夕陽と、それを横一列で眺めるカニ達のシルエットを描いた見開き。息をのむ美しさで、読み聞かせしている大人も思わずうっとりしてしまうことでしょう。
<ミーテ会員さんのお声>
娘は『かにこちゃん』が本当に大好きで、ニコニコ笑いながら、聞いています。「しゃぷ しゃぷ ぴしゃ ぴしゃ」などの海の音が好きみたい。それから、絵本の中のかにこちゃんを触ろうと、一生懸命指でなぞっています。こんなに反応があるなんて、驚きました。まだ絵本をなめたり噛んだりしようとするので、本をちぎられないよう格闘しながらだけど…(笑)親子で楽しく、読み聞かせをしていきたいな♪(0歳10か月の女の子のママ)
ちなみにかにこちゃんは、シオマネキという体長2~4センチほどの小さなカニで、片方のハサミが大きいのが特徴。大きなハサミが波に「おいでおいで」と手招きしているように見えることから、シオマネキという和名がつけられたそうです。この絵本の中では、「やあ!」「またね!」などとあいさつしているように見えますね。
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