毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、ディック・ブルーナさんの『ちいさなうさこちゃん』。世界約50か国で翻訳され、全世界でシリーズ累計8500万部以上刊行された世界的ロングセラーです。日本では1964年に、石井桃子さんの訳で『うさこちゃんとうみ』、『うさこちゃんとどうぶつえん』、『ゆきのひのうさこちゃん』とともに刊行され、世代を超えて愛され続けています。
ふわふわさんに ふわおくさん、2ひきはうさぎの夫婦です。ある晩天使がやってきて、「じき赤ちゃんができますよ」と言いました。まもなく生まれた赤ちゃんは、うさこちゃんと名づけられました。うさこちゃんが誕生した時のお話です。
今から61年前の1955年、海辺で休暇中だったブルーナさんが、長男から「うさぎの話をして」とねだられたことがきっかけで、両親と幸福に暮らす小さな子うさぎのお話が生まれました。
ブルーナさん自身、子どもの頃うさぎを飼っていたことがあり、『ディック・ブルーナ ぼくのこと、ミッフィーのこと』(講談社)の中で、「絵本を描くというのは記憶をさかのぼる旅のようなもの」とも語っています。大事な息子に語った、子どもの頃大事にしていたうさぎにまつわるお話。なぜ長年多くの人から愛されてきたか、理由がわかる気がします。
ブルーナさんの絵と言えば、はっきりとした絵柄と鮮やかな色でしょう。ブルーナカラーと呼ばれる赤、青、白、緑、黄色、茶色の6色のみしか、絵本の中で使われていません。ブルーナさんご自身は、青が一番好きな色だそう。この『ちいさなうさこちゃん』の表紙の背景色もその色となっています。
また、登場人物が皆、正面を向いていることも特徴のひとつです。これは体が横を向いていても同じこと。うれしいことも、悲しいことも、読者の子ども達と正直に向き合いたいという、ブルーナさんの気持ちの現れだそうです。
この絵本のもつあたたかさは、石井桃子さんの訳も大きな役割を果たしています。七五調をベースにした、耳にやさしい日本語は、親が子どもに聞かせたいと願う丁寧な言葉が選び抜かれています。石井さんは、実際にオランダ語での朗読を聞いてから、その響きを大事にして翻訳をされたそう。
ちなみに「うさこちゃん」の名前は、オランダ語ではナインチェ・プラウス。「ナインチェ」がうさぎちゃん、プラウスは「ふわふわ」で、ふわふわのうさちゃん、と言った意味。現在では、日本語以外の言葉に翻訳される際は、英語名の「ミッフィー」という名前が使われています。最初にブルーナさんの絵本を翻訳したのが日本で、その際の石井さんの訳語がそのまま認められているということなのでしょう。
<ミーテ会員さんのお声>
ハイハイ全盛の頃に買ってあげました。本を持って移動するのは大変だっただろうに、一緒に買った『きいろいことり』と『うさこちゃんとうみ』の3冊を夕飯つくっている私のもとに一生懸命もってきていました。今日まで毎回5回ずつは読んでいます。(1歳10か月の女の子のママ)
子どもが何度も聞きたがる、自分の誕生の時の話。うさこちゃんの誕生の際のお話を読んだ後は、子どもが生まれた時の話をしてあげたら、素敵な時間が過ごせそうですね。
無料会員登録後は、過去の「絵本子育て相談室」など、
様々な絵本情報が読み放題!
ぜひミーテにご登録ください♪