みんなの推し絵本!

vol.4 小野あつこさんの推し絵本

vol.4 小野あつこさんの推し絵本

小野あつこさんの写真

vol.4 小野あつこさんの推し絵本

思い出の一冊、大好きな一冊、渾身の一冊など、とっておきの“推し絵本”を紹介してもらうインタビュー「みんなの推し絵本!」。今回は、Eテレ「おかあさんといっしょ」第21代・歌のお姉さんとしておなじみの小野あつこさんにご登場いただきます。

大好きだった林明子さんの絵

『とん ことり』は子どもの頃、母に何度も読んでもらったお気に入りの一冊です。引っ越してきたばかりの女の子の家の郵便受けに、「とん ことり」と小さな贈り物が届くお話。「とん ことり」という響きも好きでしたし、引っ越しの経験などなかった私も共感できる、友だちっていいなと感じさせてくれるお話でした。

読み直すと、送り主の女の子が最初からちょこちょこと、いろいろなところに登場しているのに気づくんです。幼稚園で子ども達が遊ぶシーンは、会話が聞こえてくるような臨場感があって、「この子、〇〇ちゃんみたい」と、身近な友だちを重ねて読んでいた記憶があります。林明子さんの絵は、子どもの繊細な表情や立ち姿、後ろ姿からも心の声が伝わってくるので、大好きでしたね。

同じおふたりが作者の『はじめてのおつかい』も、思い出の絵本です。主人公のみいちゃんがおつかいに行く途中で転んでしまったり、小銭を落としてしまったりする様子にハラハラドキドキしながら、みいちゃんと同じ目線でお話を楽しんでいました。牛乳を持った笑顔のみいちゃんの表紙もすごく印象的ですよね。達成できた喜びと、無事帰ってこられた安堵感が混ざったような笑顔が心に残っています。

先日久しぶりに読み直してみたのですが、大人になってから読むと、親の目線に近い感覚になって、また別の感慨がありました。親子それぞれで感じることのある絵本だなと思います。

絵本で伝えたい 人と人とのつながり

14ひきのシリーズは、大人になってから再会した絵本です。学生時代、児童館でアルバイトをしていたんですが、そこで子ども達と一緒に読んだ時に、自分も昔この絵本を読んだなぁと記憶が一気によみがえりました。

大人になって読んでみて、改めていいなと感じたのは、やさしく子どもに語りかけてくれるところ。「なになにしたのはだれ?」という問いかけに、親子で「どの子だろう?」と探したり考えたりできるのがいいですよね。

14ひきはそれぞれ個性豊かで、細やかに描き分けられていて、家族のあたたかさも伝わってきます。『14ひきのあさごはん』では、野イチゴは本当に甘酸っぱそうですし、お父さんのつくったきのこのスープからはいい香りが漂ってきそうで、想像力をかきたてられます。

ねずみの目線から見た虫の迫力や生命力、生き生きとした植物などが丁寧に描かれていて、子どもの頃とてもワクワクして読んでいました。自然の豊かさや、ささやかな日常の幸せというものも教えてくれる、すばらしい絵本だと思います。子どもの頃に、いわむらかずおさんの絵本の丘美術館に連れて行ってもらったのも、いい思い出です。絵本の世界そのままの自然豊かな情景が今も記憶に残っています。

コロナ禍が長く続いていますが、こういう時こそ人と人とのつながりが大切だと思っています。絵本を通じて子ども達に、人のあたたかさや人とつながることの喜びを伝えてあげられたらいいですね。

ミーテ プレゼント情報

とん ことり

インタビューの中でご紹介した絵本『とん ことり』ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。

『とん ことり』のご紹介はこちら

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プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

応募期間
7月26日(火)~8月8日(月)

プロフィール

小野あつこ

小野 あつこ

1991年、東京都生まれ。東京音楽大学音楽学部で声楽を専攻。大学院卒業と同時に、NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」第21代・歌のお姉さんとして2016年4月から6年間番組に出演。卒業後は歌のお姉さん時代から大切にしている「近所のお姉さんのような親しみやすさ」を大事に子ども向けの活動を続けながら、「食」にまつわる勉強をするなど、仕事の幅を広げている。

https://atsuko-ono.com/


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