イチ押し絵本情報

引っ越しシーズンに読みたい名作(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.381)

2022年3月31日

今回は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 引っ越しシーズンに読みたい名作

今回ご紹介する絵本は、筒井頼子さんの文、林明子さんの絵による人気作『とん ことり』。1986年に月刊「こどものとも」の一冊として刊行され、その後1989年にハードカバー化されました。

引っ越しで知らない町にやってきたかなえは、玄関の方で「とん ことり」と小さな音がしたのに気づきます。玄関に行ってみると、郵便受けの下にスミレの花束が落ちていました。次の日はタンポポが3本、その次の日は、手紙が郵便受けに入っています。一体誰が届けてくれたのでしょう? 次の「とん ことり」の時、かなえはドアを開けて…。

見開き

お話は、家族が新しい家に引っ越してきた場面から始まります。主人公のかなえはひとりっ子なので、お父さんとお母さんが荷物の整理で忙しくしている間、遊び相手がいません。最初は片づけを手伝っていたものの、じきに疲れて、ぺたっと座り込んでしまいます。

そんな時、かなえの耳に届いたのが、タイトルにもなっている「とん ことり」という音。小さな小さな音だったので、気づいたのはかなえだけです。次の日も、またその次の日も、「とん ことり」の音とともに、郵便受けに小さな贈り物が届きます。誰が届けてくれたのかしら? 絵本を読んでもらっている子どもも、一体誰が…と気になって、お話に引き込まれていくことでしょう。

送り主が誰だったのかは、絵本を手にとって確認していただくとして、注目していただきたいのは、かなえの表情の変化です。引っ越してきたばかりのかなえは、とても退屈そうで、まったく笑顔を見せません。ところが、最後の場面の弾けるような笑顔ときたら! うれしい出会いに、読者の心もほわっとあたたかくなるはずです。

最後まで読んだらぜひ、もう一度最初から見返してみましょう。送り主の子がそこここに見つかります。引っ越し先で、自らドアを開けて、新しい世界に飛び込んでいくかなえ。よく見てみれば、友だちになれる子はすぐ近くにいたのです。遠くに引っ越してしまうお友だちへのプレゼントにもぴったりな一冊です。

<ミーテ会員さんのお声>
読む前は、タイトルの「とん ことり」がどんなフレーズか、わからなかった。お話を読むと、玄関から聞こえてくる「とん ことり」という音が、とても大切に思え、タイトルになっていることにうなずける。(5歳5か月の男の子のママ)

筒井頼子さんと林明子さんは、『はじめてのおつかい』以来の名コンビ。ふたりの共作は他にも『あさえとちいさいいもうと』『いもうとのにゅういん』『おでかけのまえに』『おいていかないで』があります。あわせて読んでみてくださいね。


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