vol.45 misato.さんの推し絵本
思い出の一冊、大好きな一冊、渾身の一冊など、とっておきの“推し絵本”を紹介してもらうインタビュー「みんなの推し絵本!」。今回は、『おやすみレストラン おすしやさん』『おやすみレストラン ようしょくやさん』の作者で、アニメーション作家・絵本作家のmisato.さんにご登場いただきます。『Find Your Book えほんのたからばこ 2025』スペシャルインタビューとしてお届けします。
「おやすみレストラン」はもともと、私がショートアニメーションとしてSNSで公開していた作品でした。
私の作品は、見立てや言葉遊びを発想の原点とすることが多いのですが、「おやすみレストラン」も、料理の工程と寝るという行為にリンクする部分があるな、と気づいたことから生まれたんです。例えば「カレーをかける」と「ふとんをかける」みたいなことですね。そんな発想からつくったアニメーションが思いのほか多くの人の目に留まって、編集者さんから「絵本にしませんか」と声をかけていただきました。

大人向けのアニメーションを、小さな子どもたちも楽しめる絵本にするために工夫したのは、オノマトペをたくさん盛り込むこと。『おやすみレストラン おすしやさん』では10種類のおすしを描いているのですが、たまごのページだと「こんこん ぱりぱか」「ふわふわ ぽんぽん」「もっふもふ」「とろとろ~ん」といった感じで、絵の近くにリズミカルなオノマトペを配置することで、楽しく読み聞かせできるようにしています。
同じオノマトペが何度も登場することのないようにリストをつくって整理したり、「ころん」なのか「ごろん」なのか、絵の雰囲気にマッチする音を求めて推敲したりと、声に出して読みながら、細かいところまで試行錯誤してつくっていきました。
寝かしつけにぴったりの絵本になるように、どのシーンでもくまたちがたっぷり遊んで、だんだん眠くなって、おやすみなさい、という展開にしています。遊び方については、タコのすべり台やあなごのマット、くるくる回るリボンのスパゲッティやハンバーガーのジムなど、素材や料理の見た目の特性を生かして発想しました。眠りにつくまでの流れを、アニメーションのように動きを想像しながら読んでもらえたらうれしいですね。

食べ物をおいしそうに描くことにも力を注ぎました。自分で気に入っているのは、トマトの種のあたりのゼリー状の部分。色鉛筆でどこまで出せるか、自分としてもチャレンジでした。ただ「最後は食べられちゃうの?」と不安にさせないように、リアルさのさじ加減には注意しました。ラストはまな板やお皿に似せたラグの上で、みんなですやすや眠って終わります。
アニメーションは普段デジタルで制作していますが、絵本は色鉛筆で描きました。これまで一枚絵をアナログで描く機会がほとんどなかったので、最後の見開きを描くときは緊張しましたね。実は今、3作目の企画も進んでいるんです。制作はこれからなのですが、スイーツビュッフェみたいな雰囲気のワクワクするような絵本をつくれたらと思っているので、楽しみにしていてください。
子どもの頃に好きだった絵本は、『ぐりとぐら』や『だるまちゃんとてんぐちゃん』など。有名どころの絵本はたいてい家にあって、何度も読んでいました。物語そのものよりも絵に惹かれていましたね。ぐりとぐらが大きな卵を運んでいる姿とか、てんぐちゃんに憧れるだるまちゃんが、たくさん並んだうちわや帽子から自分好みのものを選ぶ場面など、ビジュアルが印象深く記憶に残っています。
絵本作家になってから読んだ絵本の中では、バムとケロのシリーズが大好きです。冒頭の手紙の内容がこんな風に効いてくるのか!みたいな、いわゆる伏線回収まで描かれているところが、大人が読んでも面白いですよね。自分が絵本のストーリーをつくる上でも参考にしたいなと思うものがたくさん詰まったシリーズです。
私はアニメーションと絵本のどちらもつくっていますが、絵本にしかない良さもいろいろあるなと感じています。動きが滑らかに連なって描かれるアニメーションに対して、絵本は動きの一部分を切り取って静止画として描かれているので、読者は絵にはない動きまで想像しながら楽しみますよね。声だって、お母さんが読んでいたとしても、きっと子どもたちの心の中でそのキャラクターらしい声に変換されていると思うんです。
また、映像だと時間の流れはつくり手側がコントロールしますが、絵本ならページをめくるまで少しためてから、どーん!と次の展開を見せる、みたいな演出も入れられます。読む人の好きなように時間軸を動かせるのも、絵本ならではの魅力だと感じますね。
アニメーション作家としての経験を絵本に、絵本作家としての経験をアニメーションにも生かしながら、今後も活動を続けていけたらと思っています。

『Find Your Book えほんのたからばこ 2025』と連動して、misato.さんの絵本『おやすみレストラン ようしょくやさん』を含む絵本計3作品や絵本関連グッズをミーテ会員30名様に抽選でプレゼントします。詳細は応募ページでご確認ください。
misato.(みさと)
武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。アニメーション作家としてInstagramやXなど自身のSNSにてGIFアニメーションをメインに作品を発表し続け、独自の世界観でファンを獲得。企業コラボや商品化、書籍化など幅広く展開中。2023年、『おやすみレストラン おすしやさん』(岩崎書店)で絵本作家デビュー。アニメーション作家、絵本作家として活動中。