みんなの推し絵本!

vol.21 柴田ケイコさんの推し絵本

vol.21 柴田ケイコさんの推し絵本

柴田ケイコさんの写真

vol.21柴田ケイコさんの推し絵本

思い出の一冊、大好きな一冊、渾身の一冊など、とっておきの“推し絵本”を紹介してもらうインタビュー「みんなの推し絵本!」。今回は「パンどろぼう」シリーズや「しろくま」シリーズなどが大人気の絵本作家・柴田ケイコさんにご登場いただきます。

パンどろぼうの魅力は、「おまぬけ」なところ!?

パンどろぼうが生まれたきっかけは、以前個展で発表していた「パンどろぼうの結城さん」という名前のパンをかぶったシロクマくんでした。これを見た編集者さんが面白がってくれたことと、どろぼうが主人公の絵本は多くないのでいいなと思いました。

でもこのパンどろぼうの姿も、すんなりと決まったわけではありませんでした。最初は帽子みたいに食パンをかぶって、顔も見えて何の動物かもわかった状態。次に顔を全部覆ってみましたが体でわかってしまう…と悩んで、最終的に全身をすっぽり食パンで覆った今の姿に落ち着きました。それでも読者の方には正体がばれているかなと思っていたのですが、意外とパンに顔と手足がついたキャラクターとして見てくださっていたことに驚きました。

ストーリーも、パンを盗んでパン屋のおじさんに怒られていい子になる、みたいなものでは全然面白くないし…などとさんざん考えて、何か事件が起きてうまくいかなかったという方が「おまぬけ」で面白いなと。そこから盗んだパンがまずかったという展開が生まれて、たくさんの方が好きだと言ってくださる「まずい」の顔もこの時点で浮かびました。パンどろぼうくんがみなさんに魅力的に感じてもらえるように、妥協せずにもんでもんで作品にしています。

これまで「パンどろぼう」シリーズは新作というと個性的な新キャラの動物が登場していたのですが、最新刊の『パンどろぼうとほっかほっカー』では愛車が登場します。車が登場することで、森のパン屋周辺のお話から世界観が広がるんですよね。ただ、これまで生き物はたくさん描いてきましたけれど、車は描き慣れていないので苦労しましたし、私にとって新たなチャレンジでした。大変でしたが同時にとても楽しくもあって、工場のシーンでは「ほっかほっカー」以外のいろいろなパターンの車も描いています。

今回のお話で個人的に気に入っているのは、パンどろぼうくんが車の水しぶきをパシャーンと浴びてしまうシーン。かなりやられた感じの表情や動きが好きです。あとは解剖図のところ。これは力を入れて描いたので、みなさんにもじっくりと見ていただけたらうれしいです。

スポーツは教えられなくても、絵本の読み聞かせならできる!

子どもに読み聞かせをした中で、一番たくさん読んだと思うのは『もこ もこもこ』です。上の子はすごく目が悪くて、後に弱視だったことがわかるんですけれど、でもこの絵はすごく目に入ったようでした。なぜかいつも絵本を逆さに持って見ていて、それでも伝わってくる絵だったということなのかもしれません。

「しーん」で始まって「しーん」で終わるから、最初に戻れるんですよね。それで永遠ループ(笑)。絵本作家になって思うのは、あの短い言葉であれだけ物語性が感じられるのがすごいなと。子どもの反応も含めて、すばらしい絵本ですね。

『がたん ごとん がたん ごとん』は、下の子が赤ちゃんの頃にふたりに読み聞かせをしました。がたんごとんという響きが好きみたいで、寝る前に子どもに両側からはさまれて何回も読まされました。また『つみきのいえ』は上の子が年長くらいの頃ですね。「お風呂で『つみきのいえ』をやって」と言われて、プラスチックのコップや風呂場のおもちゃを、湯船の中にどんどん積んで、つみきの家の沈んだ家に見立てて遊んだのを覚えています。

読み聞かせは、上の子が赤ちゃんの頃に始めました。なかなか寝ない子で、悩んで母乳外来の先生に相談したら、おっぱいをあげた後に読んであげるとすぐに寝るだろうし、その習慣をつけると寝やすくなると思う、と教えていただいたんです。また、自分が子どもにしてあげられることってなんだろうと思った時に、スポーツは教えられなくても、イラストレーターをやっていたので絵を見るのが好きだし、本も好きだし、絵本の読み聞かせなら毎日できる!と思ったんですよね。

子どもって小さいうちは自分で自分のことはできないけれどちゃんと自我はあって、ママさん・パパさんは日々振り回されて大変だと思うんですよね。私もそうでした。ただ喉元過ぎてみれば、子どもとの思い出がとても深い時期だとも思います。でももし「今日はしんどい」と思ったら、自分なりに工夫をして、気持ちも体も逃げられる態勢をつくってほしいと思います!そして子どもは普段のがんばっている姿の方を絶対見ていると思うので、それを信じて、うまくバランスを取りながら育児を楽しんでくださいね。思っている以上に、何とかなりますよ!

ミーテ プレゼント情報

パンどろぼうとほっかほっカー

インタビューの中でご紹介した「パンどろぼう」シリーズの最新作『パンどろぼうとほっかほっカー』を、ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。

※ミーテ会員登録がまだの方は、登録後、ご応募ください。会員登録はこちら

プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

応募期間
12月26日(火)~2024年1月8日(月)

プロフィール

柴田ケイコさん

柴田 ケイコ(しばた けいこ)

1973年、高知県生まれ。『めがねこ』(手紙社)で絵本作家デビュー。『おいしそうなしろくま』(PHP研究所)が第8回リブロ絵本大賞、『パンどろぼう』(KADOKAWA)が第11回リブロ絵本大賞、第1回TSUTAYAえほん大賞、第13回MOE絵本屋さん大賞2020第2位を受賞。2児の母。


ページトップへ