Vol.65 『うずらちゃんのかくれんぼ』作者・きもとももこさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、『うずらちゃんのかくれんぼ』の作者である絵本作家きもとももこさんにご登場いただきます。
『うずらちゃんのかくれんぼ』をつくった当時、私は勤めていたデザイン事務所を辞めたばかりでした。絵を描く仕事がしたくて、知り合いに作品を見てもらったところ、「あなたの絵は絵本に向いているんじゃない?」と言われたんですね。それで、絵本の出版社に片っ端から電話をかけて、作品を見てもらいました。
福音館書店は確か6、7番目に伺った会社だったのですが、きちんと作品を見た上でアドバイスをくださって、さらに、また作品を持ってきたら見てあげるよと言ってくれたのです。最初に持ち込んだお話は、うずらちゃんは登場していたものの、今のものとは全然違うお話でした。それを2年かけて何回も何回も直して、3年後にやっと出版できました。
2006年、『うずらちゃんのかくれんぼ』が皇太子ご一家の公開したホームビデオに登場した時は、ひとり目の子を妊娠中でした。私はすでに2度流産を経験していた上に、その時も切迫流産になっていて、なかば出産をあきらめながら、最悪の気分で寝たきりの毎日を過ごしていました。でも絵本が注目されたことで気持ちも上向きになり、無事に出産することができました。その時おなかの中にいた息子は16歳になり、楽しそうに高校へ通っています。
2019年には、月刊「こどものとも0.1.2.」で『こいぬのくろちゃん』という赤ちゃん絵本をつくりました。実は、赤ちゃん絵本についてはまだ勉強中です。とにかくシンプルに削ぎ落とすこと。これ好きだから描いちゃおうっていう気持ちを抑えて、一番大切なことを残す。これが本当に難しいのですよ。好きなものを全部描いてしまうと、対象年齢が上がっていく気がします。
私は子どもが小さかった頃、時間的な余裕が全然なくて、「~しなくちゃ」と毎日必死でした。当時の私からすると、絵本の読み聞かせは、根性がないとできないような感じもありました。もう夜になると、早く子どもを寝かせて自分もさっさと寝たいわけです。
でもそんな時期はあっという間でした。今からお子さんに絵本を読んであげる方々には、私みたいに余裕のない感じではなく、ぜひ大切な時間をゆっくり、じっくりと楽しんでほしいと心から思います。絵本を読み聞かせることで、ことばを話せない赤ちゃんのことを、いろいろと知ることができると思いますよ。
きもとももこさんの絵本『うずらちゃんのたからもの』に直筆サインを入れていただきました! ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
きもと ももこ
1966年、東京都生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。主な作品に『うずらちゃんのかくれんぼ』『うずらちゃんのたからもの』『ピーのおはなし』『かえるくんのおさんぽ』(いずれも福音館書店)などがある。
実は、きもとももこさんは公文式教室の卒業生! KUMON now!(外部サイトにリンク)のOB・OGインタビューにもご登場いただいています。絵本作家となった今でも心に刻まれている、公文式学習から学んだこととは?