Vol.63 『カシャッ!』作者・北村人さんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、『カシャッ!』の作者である絵本作家・北村人さんにご登場いただきます。
子どもが生まれたのをきっかけに、写真を撮ることが増えました。子どもが3歳頃だったと思うのですが、カメラに興味をもったようで、こちらにカメラを向けて「はいっ チーズ!」と声をかけてくれたんです。小さなカメラマンのために、こちらはおどけた表情やポーズをとって喜ばせます。
『カシャッ!』は、そんな日常の遊びの中からアイデアをふくらませて生まれました。カメラを持った男の子が、いろいろなものを「カシャッ!」と写真に撮りながら、「いいおかお」を見つけていく絵本です。
「カメラを構える」→「写真を撮る」のくり返しで展開していくのですが、当初は動物や乗り物など、いろいろなモチーフを候補として挙げていました。でも進めていく中で、何かひとつ軸となるようなものがあった方が入り込みやすいかなと思い、食べ物でまとめることにしました。子どもにもなじみのある食べ物の中から、絵にした時に面白くできそうなものを考えて選んでいます。
巻末に付録としてカメラの絵があるので、切り取って遊んでみてください。ペーパーカメラをお子さんが構えた際には、最高の「いいおかお」で応えてあげてくださいね。
うちの子どもにも赤ちゃんの頃から読み聞かせをしてきましたが、印象的だったのは『ぽぽんぴぽんぽん』です。何だかわからないけれど楽しいリズムと、おへそを「ここ!」と指し示す展開に、子どももとても楽しく反応していました。大人になると、どうしても理屈で考えることが増えてしまうと思いますが、この絵本を読んでいた時はシンプルに「楽しい」と感じられて、そのことに自分自身、驚いたのを覚えています。
赤ちゃんは無限の可能性をもっていて、大人が考えるよりもずっと感性の懐が深く、いろいろなものを楽しむことができると感じています。そんな懐の深い感性を共有できるという点でも、絵本を一緒に読むというのはとてもいいことだと思います。もしかすると、大人にとっても何か新たな気づきがあるかもしれません。
古今東西、様々な絵本がありますが、いろいろと読んであげるのがいいと思います。個人的には、しつけや教育を目的にしたものよりも、何だかわからないけれど楽しいと思えるような絵本が好きです。赤ちゃんと過ごせるせっかくの時間ですから、一緒に楽しみながら読めるといいですよね。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
北村 人(きたむら じん)
1981年、東京都生まれ。東海大学教養学部卒業。絵本作家、イラストレーター。絵本に『おひさまでたよ』(絵本館)、『はーい おはよう!』(福音館書店)、『万次郎さんとおにぎり』『万次郎さんとすいか』(ともに本田いづみ・文、福音館書店)、『しましましましょ』(小学館)、挿絵を手がけた書籍に『そして生活はつづく』(星野源・著、文藝春秋)、『ぼくの守る星』(神田茜・著、集英社)などがある。