Vol.57 『こ~ちょこちょ』作者・にへいたもつさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、保育園の園長でもある、にへいたもつさんにご登場いただきます。
私は普段、東京都葛飾区の保育園で園長をしています。『こ~ちょこちょ』は、保育園での子ども達の様子や、保護者の方とお子さんとの関わりを見てきた中で生まれた絵本です。
子ども達は、こちょこちょ遊びが大好きです。ひとりの子と「こ~ちょこちょ」を始めると、他の子も「僕も」「私も」と列をなして集まってくるほどです。「僕にも、私にも関わって、遊んで」という子ども達の心の声が聞こえてくるようです。
子育てをしていると、子どもと真剣に向き合いすぎて、ついヒートアップしてしまうこともあるでしょう。そんな時はくすぐりっこをして気を紛らわせたり、一呼吸おいて笑顔になってから対応するとうまくいったりします。大人も子どもも笑顔が一番。親子の笑顔のきっかけになるような絵本を、という思いから『こ~ちょこちょ』はできました。
絵本を読んでもらうとわかりますが、表紙をめくると、お父さんお母さんくまが、散歩に出かけるくまのこちゃんを木の陰から見守っているんですね。このあたりは、子どもを見守る親の愛情が伝わるように、ということを意識しました。くまのこちゃんは散歩中に出会った動物達とこちょこちょ遊びをして、最後にはお父さんお母さんのところに戻ってきます。そして裏表紙には、お父さんお母さんから「こ~ちょこちょ」をしてもらう様子が描かれています。読み終わった後はぜひ、親子でこちょこちょ遊びを楽しんでくださいね。
昨夏出版された『なでなでなーで』は0歳も対象としているため、よりわかりやすく、絵本の世界にすんなりと入っていけるように、人間の親子を最後に登場させました。テーマは自己肯定感を育む絵本です。
赤ちゃんはお母さんやお父さんからの愛情を待っています。かわいいかわいいと「なでなで」して、「だーいすき」と顔を見て伝えてあげてほしいのです。そうすれば、赤ちゃんもうれしくて笑顔を返してくれます。愛情がたくさん伝わると、自己肯定感が育まれ、生きる力の基礎になります。この絵本を楽しみながら、「なでなでなーで だーいすき」と愛情をたっぷり伝えてほしい、そんな願いを込めてつくりました。
親子の絵本タイムは、愛情たっぷりのひとときです。お母さんお父さんの生の声は、お子さんのうれしい記憶として心に残ります。もちろん、ことばが豊かに広がり、本好きになる子もいるでしょう。私にも娘がふたりいますが、成人になった今でも小さい頃の絵本の話が出たり、何でも言い合える関係になっているのは、小さい頃から読み聞かせなどを通じて関わりを大切にしてきたからだと思います。
保護者の方から、先生みたいに上手く読めません、と言われることがありますが、読み聞かせには上手い下手は関係ありません。お母さんお父さんが生の声で読むことが大事なのです。一緒に笑ったり、共感したりしながら、赤ちゃんとの絵本タイムを楽しんでくださいね!
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
にへい たもつ(二瓶 保)
葛飾区東立石保育園園長。1990年、葛飾区公立保育園での初の男性保育士となる。2006年より、保育士や絵本作家、編集者ら絵本に興味をもつメンバーで集う「えほんの会」を主宰。絵本に『こ~ちょこちょ』『なでなでなーで』(KADOKAWA)、紙芝居に『ぶるるん ぷっぷー』『スプーンとフォークつかえるよ』『めざましごはん』(教育画劇)などがある。