Vol.44 『そんなに みないで くださいな』作者・accototoさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回はaccototoのふくだとしおさん、あきこさんにご登場いただきます。
あきこさん(以下、敬称略) うちには子どもが3人いるんですが、一番下の子が赤ちゃんの頃に考え始めた絵本が『そんなに みないで くださいな』です。
としおさん(以下、敬称略) これまではもうちょっと上の年齢の子に、少しメッセージ性のある絵本をつくることが多かったんですが、今回は赤ちゃんでも楽しめるように、親子で一緒に遊び感覚で読めるシンプルな絵本というのを意識してつくっています。
カメが頭や手足を急にひっこめたり、ウサギがぴょーんと跳んだり…といった、いろいろな生き物が変化する様子をいくつも描き出すことから始めて、そこにさらにピーマンやマトリョーシカなどの生き物以外のものも盛り込むことで、バリエーションをつけていきました。
あきこ とぐろを巻くヘビとか、丸くなるアルマジロとか、他にもいくつもアイデアがあったんですが、生き物の形状の変化だけを説明するような絵本ではなく、遊び心のある絵本にしたかったので、ボツにしました。
としお 『そんなに みないで くださいな』というタイトルは、小学6年生の長女が考えたんですよ。最初はもっと別の、「なに見てんの?」みたいな仮のタイトルをつけていたんですが、どうにもしっくりこなくて…。そんな時、ラフを見た長女が「そんなに みないで くださいな」と言ったんです。面白いフレーズだねってことで、タイトルとして採用することにしました。
あきこ 長女には、腰が据わった頃から絵本の読み聞かせを始めましたが、次女や長男は、上の子に読み聞かせをしている時はたいてい横にいて、一緒に絵本を見ていました。思い返せば、おなかの中にいた頃から聞いていたのかもしれません。
としお 長女に『うしろにいるのだあれ』を初めて読み聞かせした時、猫の登場するページに笑顔で声を上げて反応してくれたのがとてもうれしくて、今でもよく覚えています。
あきこ 子育てを始めたばかりの頃は、赤ちゃんへの語りかけの大切さを知識としては知っていても、ことばの通じない赤ちゃんに何を話しかけたらいいのか、戸惑いもありました。でも、絵本があることで語りかけやすくなるし、赤ちゃんの好みも発見できたりするんですよね。だから絵本の読み聞かせは、赤ちゃんとコミュニケーションをとる方法のひとつだなと思います。
としお 赤ちゃんをひざに乗せて、耳元でゆっくりと絵本を読んであげる。そんなスキンシップを通して、親子の絆が深まるように感じます。ゆったりとした気持ちで絵本を読んで、ママ、パパもリラックスしてみてください。
あきこ まずは読み聞かせをする自分が「楽しい!」「かわいい!」「好き!」と感じる絵本を選んでいいと思います。赤ちゃんとの暮らしはわからないことだらけで、大変なことも多く、泣きたくなる日もあると思いますが、3年、5年、10年後には愛しい思い出になっていくはず。絵本を読む時は、あえて感情をしっかり込めて、大きめの声で読んだりすると、気分がすっきりすることもありますよ(笑)
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accototo(アッコトト)
1971年、大阪府生まれのふくだとしおと、1978年、兵庫県生まれのふくだあきこによるユニット。絵本、絵画、壁画、立体、雑貨など、さまざまな分野で活動している。主な作品に、「うしろにいるのだあれ」シリーズ(幻冬舎)、「ポポくん」シリーズ(PHP研究所)、「ごらん」シリーズ、『あいうえ おりょうり めしあがれ』(イースト・プレス)、『だれのあしあと』『ちがう ちがう』(大日本図書)、『あるこう あるこう あるこうよ』(教育画劇)、『そんなに みないで くださいな』(KADOKAWA)などがある。(プロフィール写真撮影:後藤利江)