Vol.34 『ぬにゅ~ぽんぽん』作者・ちかつたけおさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、ちかつたけおさんにご登場いただきます。
『ぬにゅ~ぽんぽん』は、僕が初めて手がけた絵本です。原案はもっと長く、2色の少しアート寄りのイメージで、年齢もとくに設定していなかったんですね。でもある時、本屋の絵本コーナーを見ていたら、あのカラフルな中ではどうみても手に取ってもらえなそうな案だなと感じたんです。それで方向転換をして、ページ数の少ない、幼児向けのカラフルでシンプルな絵本としてつくることにしました。
制作の上で重視したのは、擬音のリズムや色・形、音の響き。広告の仕事をしていた頃に、色の性質や、文章や色・形はリズムがとても重要であることは学んでいたので、その経験を生かしつつ、まだことばがわからない、もしくは覚えたてくらいの子どもが楽しめるように、ということを意識してつくっていきました。
僕は普段、装画等で手間のかかる写実的な絵を描いているので、いきなりシンプルな絵を描くと手抜きのように思われないかと、変なところで人の目も気になりましたが、この絵本に最重要なことは何か、伝えたいことは何かを最優先して表現を模索した結果、このような絵本になりました。
子どもが驚いてくれる、笑ってくれる、悲しんでくれる姿を想像しながら絵本をつくることは、とても楽しいですね。絵本は、作家の手を離れてから、読み手の方が一演出者となることでようやく完成するわけですから、どう読んでもらおうかと考えるのも面白いですし、読み手を含めたみんなで作品ができあがる、という意味でも魅力を感じます。
そして大げさに言えば、親が選んだ絵本から子どもは何かを学び、成長し、やがて社会人となり、国をつくり、世界をつくり、親になってまたその子どもに絵本を読み聞かせをする…これだけ世代や人の垣根を越え、場合によっては国境を越え、みんなで何かをつくっていけるようなこともそう多くはないかもしれません。
『ぬにゅ~ぽんぽん』の読み方に正解はありません。ここは徐々に大きくとか、ここは力を入れて読んでもらいたい、と想像して文字の大きさ等は変えてはいますが、まずは子どもと同じように、絵や音から感じることを大切に自由に楽しんでもらえればと思います。
ちかつたけおさんの新作絵本『ぬにゅ~ぽんぽん』に直筆サインを入れていただきました!
ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
最新作『ぬにゅ~ぽんぽん』のご紹介はこちら
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
ちかつ たけお
イラストレーター、画家、デザイナー。「チカツタケオ」名では写実的なタッチで国内外の装画や挿絵を手がける。装画を担当した作品に『騎士団長殺し』(村上春樹・著、新潮社)、『絶唱』(湊かなえ・著、新潮社)など。2006年9月から1年半、絵を描くことに専念するため南仏に滞在。東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)会員。07年玄光社ザ・チョイス年度賞優秀賞、09年第8回TIS公募金賞を受賞。『ぬにゅ~ぽんぽん』が絵本デビュー作となる。