Vol.19 『ぱかっ』作者・森あさ子さんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、森あさ子さんにご登場いただきます。
『ぱかっ』のアイデアは、ある時ふと木を見上げていて思いつきました。木になっていた実を見て、あの実が落ちて「ぱかっ」と割れたら、中から何が出てくるだろう、と思ったんです。ちょうど音の響きの面白い絵本をつくりたいと思っていた時だったので、「これだ!」と思いました。
とてもシンプルな絵本ですが、だからこそこだわった点はいろいろあります。強いてあげるなら、色彩と微妙な目の表情ですね。色を塗った紙を切って貼って描いているのですが、目などはあえて下描きなしで、切り味を生かすよう工夫しています。
どんなものがぱかっと開くかについては、何十個も候補を挙げました。その中から、わかりやすさと面白さを基準に厳選していったんです。果物がぱかっと割れるイメージからスタートしたので、初期のラフはりんごから始まっていたのですが、最終的にはりんごはボツにして、たまごから始まるようにしました。意外なものもぱかっと開くので、お子さんと一緒に楽しんでもらえたらうれしいです。
私には今2歳の娘がいて、よく一緒に絵本を楽しんでいます。0~1歳の頃は、絵本を破ってしまったり、こちらの話も聞かずにページをどんどんめくってしまったりということもよくありましたが、本来の読み方とは離れてしまっていてもあまり気にせず、自由に楽しんできました。子どもはそういう中で、次第に絵本というものに親しんでいくのだと思います。
『もこもこもこ』や『ぴょーん』、『ぶたのたね』など、娘のお気に入りの絵本はいろいろありますが、同じ絵本でも0歳の頃と2歳になった今とでは反応する場所が違ってきていて、とても興味深いですね。
『ぱかっ』は制作途中から読み聞かせしていたのですが、最初は「ぱかっ」のところで口を開けてみたり、お弁当のページでつまんで食べるふりをしていただけだったんです。でも2歳になった今は、「おにぎり」「トマト」など、お弁当の具材の名前を一つひとつ指差して確認するようになりました。そんな風に、読み聞かせの中で子どもの成長を感じることができるのも、絵本の大きな魅力だと思います。
お気に入りの動物を探したり、簡単なフレーズや擬音語・擬態語を一緒に声に出してみたり…親子一緒にコミュニケーションをとりながら、楽しいひとときを過ごしてくださいね。
森あさ子さんの絵本『ぱかっ』に直筆サインを入れていただきました!
ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
森 あさ子(もり あさこ)
東京都生まれ。女子美術大学卒業。映画・ミュージックビデオなどの映像美術にたずさわったのち、イラストレーター・絵本作家として活動。主な作品に『あなのなか』(岩崎書店)、『ぱかっ』『くるっ』(ポプラ社)、『ぎゅぎゅぎゅのぎゅー』(ひかりのくに)、『さかながはねて』(文・中川ひろたか、世界文化社)、『ガチャガチャぽん!』(文・ナカオマサトシ、マイクロマガジン社)、『はやくちレストラン』(文・もぎあきこ、金の星社)などがある。