Vol.18 『ぷくちゃんのすてきなぱんつ』作者・ひろかわさえこさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、ひろかわさえこさんにご登場いただきます。
これまでに『いちにのさんぽ』や『あめぽったん』、最近では『おまめちゃん』、『いちごちゃん』など、赤ちゃん向けの絵本もいろいろと手がけてきました。赤ちゃん絵本をつくる上で心がけているのは、オノマトペを中心としたリズム感のある文章と、赤ちゃんでも経験したことがあるような動作を盛り込むこと。でも、「ぷくちゃん」シリーズをつくった時だけは、ちょっと違いました。
おむつはずしをテーマにした赤ちゃん絵本を、という依頼をいただいて、最初は赤ちゃんが少しでも楽しくトイレトレーニングに取り組めるようにと、リズムのよい唱えことばのような文を考えていたんです。でも、途中から考えが変わり、それまでの原稿を全部破棄して、一からつくり直しました。赤ちゃん絵本は赤ちゃんだけのものではなく、お母さんにもメッセージが伝えらえるものだと思ったからです。
「子育ての中で、赤ちゃんとのゆったりした時間を楽しんでほしい」「失敗したってやり直せるから大丈夫」「赤ちゃんもお母さんも、幸せな育ちができるように」…絵本を通じて、そんな思いを伝えたかったんです。
『ぷくちゃんのすてきなぱんつ』を読んだお母さん達からは、「おかげで楽におむつはずしができました」という感想をたくさんいただきました。お母さんが余裕をもって楽しい気持ちで子育てができれば、赤ちゃんも幸せだと思います。イライラすることもあるかもしれませんが、できるだけおおらかな気持ちで子どもに接することができたらいいですね。
私が子育てしていた20数年前は、今ほど赤ちゃん絵本がなかったのですが、まついのりこさんの『じゃあじゃあびりびり』などは、文字通りびりびりになるまで読み聞かせした記憶があります。あとは、絵図鑑のようなものを使って認識を促したりしていましたね。
よく「うちの子は全然絵本を見てくれない」という声を聞きますが、赤ちゃんにも絵本と出会う最適なタイミングがあるように感じます。乗り物にしか見向きもしなかった子が、絵本の中の「ブッブー」とか「シュッポッポ」といったことばを耳にした途端、急に反応するようになる、というようなこともあるので、焦らずに赤ちゃんの興味が向くのを待ってあげるのも大事かなと思います。
赤ちゃん絵本は、人生で最初に出会う本。小さな絵本の扉を開けることで、たくさんの喜びと出会える…そのことが伝われば、その後もたくさんの本との出会いが待っていることでしょう。赤ちゃんをおひざに抱っこするコミュニケーションのツールとしても最適です。ぼろぼろになるのを気にせずたくさん読んで、幸せな時間を過ごしてくださいね。
ひろかわさえこさんの絵本『ぷくちゃんのすてきなぱんつ』に直筆サインを入れていただきました!
ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
ひろかわ さえこ(廣川 沙映子)
1953年、北海道小樽市生まれ。武蔵野美術大学商業デザイン科卒業。主な作品に「かばくん・くらしのえほん」シリーズ、「おやすみなさいのまえに…」シリーズ、(あかね書房)、「ぷくちゃん」シリーズ、「ことばであそぼ」シリーズ、『あめぽったん』『いちにのさんぽ』(以上アリス館)、『あさですよ!』(鈴木出版)、『声の森』(文・安房直子)、『おまめちゃん』『いちごちゃん』『ぞろりぞろりとやさいがね』(以上、偕成社)、『わかってるもん』(ハッピーオウル社)などがある。