Vol.3 『だるまさんが』担当編集者・沖本敦子さんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、かがくいひろしさんの人気作『だるまさんが』を担当されたブロンズ新社の編集者・沖本敦子さんにご登場いただきます。
かがくいさんと初めてお会いしたのは、『だるまさんが』の出版の半年ほど前のことです。弊社がファーストブックを多く出版していると知ったかがくいさんが、「こういうのはどうですか」と『だるまさんが』のもととなるラフを見せてくださったんですね。それが、実際に出版されたものとほとんど変わらない内容で…見た瞬間に「これは面白い!」と感じて、編集長の判断で即出版が決まりました。
かがくいさんは特別支援学校の先生として、発達やことばの理解が遅い子ども達とずっと向き合ってこられた方なので、見た時に明快で生理的に気持ちがいい、身体感覚に訴えかけるようなものを大事にしていらっしゃいました。特別支援学校では長年、音と動きだけで楽しませる人形劇をされていたのですが、その経験は『だるまさんが』をつくる上でも存分に生かされていると思います。
帯に「泣く子も笑う」というコピーを入れていますが、これは実際に読者の方々からそういうクチコミがあったからなんです。「初めて絵本で笑ったのが『だるまさんが』でした」という声もたくさんいただいています。赤ちゃんが笑うとママやパパも笑うし、ママやパパがうれしそうだと、赤ちゃんもうれしい…そういう連鎖が自然と起きる絵本なんです。
かがくいさんは本当に愛情深い方で、「しんどい時代だからこそ、笑顔になれる絵本を届けたい」という思いを強くもっていらっしゃいました。『だるまさんが』には、そんなかがくいさんのお人柄がそのままにじみ出ているように感じます。
続編の『だるまさんの』と『だるまさんと』、『だるまさんが』の大型絵本も合わせると、すでに427万部を超えていますが、本の面白さを知る最初の一歩として、これからもたくさんの親子が「だるまさん」シリーズを読んで笑ってくれたらいいなと願っています。
かがくいひろしさんの人気作「だるまさん」シリーズ「が・の・と」3点セットをミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
かがくい ひろし
1955年、東京都生まれ。東京学芸大学教育学部美術学科卒業後、学校勤務のかたわら、人形劇の活動や紙を使った造形作品の制作、発表を行う。『おもちのきもち』で第27回講談社絵本新人賞を受賞し、2005年、50歳で絵本作家としてデビュー。『だるまさんが』をはじめとする「だるまさん」シリーズは累計427万部を超えるベストセラーとなった。その他、『もくもくやかん』(講談社)、「まくらのせんにん」シリーズ(佼成出版社)など話題作多数発表。2009年9月急逝。