絵本作家インタビュー

vol.122 絵本作家 亀岡亜希子さん(後編)

絵本作家さんや絵本の専門家の方々に、絵本についての思いやこだわりを語っていただく「ミーテカフェインタビュー」。今回は、愛らしいオコジョのタッチィが活躍する『ねんにいちどのおきゃくさま』の作者・亀岡亜希子さんにご登場いただきます。パステルで描かれる自然豊かな四季の風景は、生まれ育った山形での暮らしの影響が大きいそう。美術教師だったお父様による読み聞かせ、自然と動物に囲まれて育った幼少の頃の話などを伺いました。
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絵本作家・亀岡 亜希子

亀岡 亜希子(かめおか あきこ)

1971年、山形県米沢市生まれ。東北生活文化大学生活美術学科卒業後、上京しデザイン会社に入社。その後「ちひろ美術館・東京」に学芸員のアルバイトとして勤務。『ねんにいちどのおきゃくさま』(文溪堂)で絵本作家デビュー。『はるをさがしに』『なつのやくそく』『あきにであったおともだち』(以上文溪堂)『つばめたちのきせつ ビジューとフルール』(教育画劇)などがある。
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父親と双子の姉と……絵本にまつわる様々な思い出

どんぐりのき

▲小学生から「このお話は恋愛の話ですか?」という感想をもらって、そういう風に思うんだ、おもしろいなーと思ったそう。『どんぐりのき』(PHP研究所)

子どもの頃、父親によく読み聞かせをしてもらっていました。双子の姉と父親の膝の上に乗って読んでもらったり、床に絵本を置いてのぞくように見たり。子どもだけで、笑いながら本を読んだりとか、絵本を読んだ思い出はたくさんあります。

どちらかと言うと厳しい父親だったけど、読み聞かせの時はいっしょに話を楽しんでいるようで、時間を共有している感じが好きでしたね。父もいっしょに楽しんでいたんじゃないかと思います。

安野光雅さんの『旅の絵本』というシリーズがあって、見開きに細かく描いてある森や街の中に旅人がどこかに必ずいるという絵本です。最後はその旅人がまた旅に出るという、言葉のない絵本を何度も繰り返し見ていました。

父親が選ぶ絵本の中には、自分たちが好きじゃないと思うものもありました。そういう絵本を読んでくれたあと、こっそりふたりで「あの絵本嫌い」とか「あの絵本怖い」と言っていましたね。でも、未だに怖かった絵本はふたりともよく覚えていて、「あの絵本、ホントに怖かった」「私も、私も」という話になります。

よく覚えているのは『猫は生きている』という、田島征三さんが絵を描いている、東京大空襲の話。悲しくてつらい話ですが、とにかく田島さんの絵が恐ろしかったんです。目の前で読まれるとトラウマになるほどで、今もその怖かった気持ちは残っています。

だけど、たまに実家に帰ると読みたくなって、本棚から引っ張り出して「そうそうこれが怖かったんだよな」と、懐かしく思いながら読んでいます。私にとって大切な絵本だなと感じますね。

楽しい絵本だけではなく、怖い絵本も大切な1冊

ネルとマリのたからもの

▲ヤマネのネルとマリの宝物とは? 亀岡さんは山梨のやまねミュージアムにも足を運んだそう。『ネルとマリのたからもの』(PHP研究所)

子どもが喜ぶ楽しい絵本だけじゃなくて、色んな絵本を読んであげた方がいいと思います。怖いという感情も子どもには必要だと思います。

絵本作家の赤羽末吉さんの言葉で、「人には色んな感情があって、怖いとか悲しい寂しいという感情も子どもには必要。子どもが成長するためには、怖いと感じることができる絵本も大切」と言うものがあって、印象に残っています。

父親が読んでくれた戦争の絵本は、子どもには怖かったけど、絵本を通して知って、今の平和が大切に感じたりしているのかなというのがあります。楽しいと思う絵本も、もちろんいいけど、自分があえて読まない絵本を誰かに読んでもらうということも大切だと思います。

私が働いていた「ちひろ美術館・東京」は、0歳児から連れて来られる美術館で、読み聞かせの時間があるので、ベビーカーで赤ちゃんを連れて来てくださる方もたくさんいました。それを見て、読み聞かせはコミュニケーションの場なんだなと感じましたね。

絵本の読み聞かせは、子どもと絵本をいっしょに楽しむ時間、という意味で大切だと思います。同時に、子どもは話を読むのではなく、耳で聞くわけじゃないですか。聞くという訓練じゃないですけど、人の話を聞くというのはすごく大切なので、そのような面からも読み聞かせの時間を持ってあげるのは、いいことだと思います。

読み聞かせは、人間同士のコミュニケーション!

亀岡亜希子

お母さんだけじゃなく、うちみたいにお父さんが読むのもいいと思いますよ。以前「おやじの読み聞かせ会」を見たことがありますが、それがいいんですよ。上手じゃない人もいるんですけど、お母さんの愛情とはちょっと違う、お父さんなりの不器用なんだけど子どもたちといっしょの時間を過ごしているという感じがいいんです。

あと、字が読めるようになったら、子どもがお母さんに読んであげるというのもいいと思います。それと、旦那さんが奥さんに読んであげてもいいと思います。毎日旦那さんに絵本を読んであげているという友だちもいるんですよ。

読み聞かせは、人間同士のコミュニケーションにもなると思います。読み聞かせをしたあとは、感想を聞かない方がいいという話もよく聞くけど、私は反対にご飯を食べながらでも「さっきの絵本どう思った?」と話をするのもいいのではないかと思っています。

そうすると、こういう絵本を読むと自分の子どもはこう思うんだ、考えるんだと、子どものことを知ることができるんじゃないかなと思うので。その時、子どもの感想に対して批判するようなことや教えるようなことは言わず、子どもが自由に感想を言えるよう、聞くことに徹して欲しいと思います。


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