イチ押し絵本情報

ちょうちょうがひらひらと春を運ぶ(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.378)

2022年3月10日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 ちょうちょうがひらひらと春を運ぶ

今回ご紹介する絵本は、まど・みちおさんの作、にしまきかやこさんの絵による『ちょうちょうひらひら』。1972年にフレーベル館から出版された作品を、2008年にこぐま社が復刊したロングセラーです。

春風に乗って、ちょうちょうがひらひら。うさちゃんに止まると、うさちゃんがうふふ。しかさんにとまると、しかさんがえへへ。次は誰に止まるかな?

見開き

淡いピンクとレモンイエローのグラデーションで描かれた表紙のうさちゃんと蝶。うさちゃんはほんのり赤らんだ頬をして、こちらに向かって微笑んでいます。明るい色とやわらかな線、描かれたすべてが、見る人にあたたかく明るい春らしい気分を運んでくるようです。



ページをめくると、蝶が一匹、パステルカラーの景色の中を左から右へとひらひら飛んでいきます。このページに書かれた文字は「ちょうちょう ひらひら」のみ。一方、絵からは、蝶の軽やかな動きと共に、あたたかな春の日差しや花の匂い、羽ばたきが起こすかすかな空気のゆらぎまでが立ち上がるよう。文字の少なさが、絵の雄弁さを引き立てています。

その蝶が、うさちゃんの耳に止まります。もし現実で同じことが起きたとしたら、蝶を驚かさないようにピクリとも動かず、息を殺してそっと見守ることでしょう。そして体の動きとは反対に、心はうれしさではじけそうになるのでは。うさちゃんもじっとしつつ、こらえきれないうれしさに「うふふ」と笑みがこぼれています。

次々と新しい蝶がやってきて、動物達に止まります。ちょっとしたアクシデントがありますが、友だちを思いやる気持ちのおかげで、みんなの笑顔がはじけて終わります。動物達の楽し気な明るい笑い声に、読み聞かせを聞く子ども達もつられて笑顔になることでしょう。まど・みちおさんのやさしさや大らかさに満ちた詩と、にしまきかやこさんの明るく愛らしい絵が一体となって、あたたかさと笑顔を届けてくれる春らしいお話です。

<ミーテ会員さんのお声>
『ちょうちょうひらひら』は、最近買ったお気に入りの絵本。うさちゃんにも、しかさんにも止まったちょうちょうが、大きいぞうさんには止まらず、小さいねずみさんに止まるなんて…。「ぞうさん、えーんえーんって泣いてるよ」と言うと、娘もちょっとさみしそう。ぞうさんに止まる場面では大喜び。少しずつ自分以外の感情もわかるようになってきたのかな?(0歳11か月の女の子のママ)

これまでロングセラー&名作ピックアップでは、まど・みちおさんとましませつこさん『ママだいすき』や、にしまきかやこさんの『わたしのワンピース』を紹介しています。あわせて読んでみてくださいね。

▼にしまきかやこさんのインタビューはこちら
「子どものときの感覚で絵を描いていきたい」


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