毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、ビバリー・ドノフリオさんの作、バーバラ・マクリントックさんの絵による『ないしょのおともだち』。2007年にアメリカで出版され、2009年に福本友美子さんの訳で日本に紹介された人気作です。
昔、大きな家にマリーという女の子が住んでいました。その家のすみにある小さな家にはネズミの女の子が住んでいました。マリーに両親と弟妹がいたように、ネズミにも両親と弟妹がいて、同じように学校に通っていました。ある日、偶然お互いの存在に気がついて、そこから内緒の友情が始まったのです…。
この絵本には、子ども達が大好きなものがたくさん詰まっています。まず「ないしょのおともだち」という邦題が秀逸です。子ども達は「ないしょ」も「おともだち」も好きなら、「ないしょのおともだち」はもっと大好き。大人に内緒で育まれた友情がずっと先まで続くお話に、子ども達は夢中になることでしょう。
次に、細かく描かれた絵です。ページの左にはマリーの、右にはネズミの暮らしぶりが描かれています。子ども達の興味をひくのは、ネズミの家の様子でしょう。ソファーは卵パック、クッションはティーバッグ、壁には絵の代わりに切手が、柱時計の代わりに腕時計がかかっています。
絵の中から身近な日用品を見つけたり、マリーとネズミの暮らしの同じところと違うところに気づいたり。まるで絵本の絵を楽しむための練習をさせてくれるようなつくりです。『シモンのおとしもの』など絵探し絵本も手掛けているバーバラ・マクリントックさんならではの魅力です。
大人の興味をひくのは、マリーの人生の背景にアメリカの文化が垣間見えるところでしょう。古きよきアメリカの家族で育ったマリーが巣立つ時にはヒッピー風で、今は自分の家族とモダンな家に落ち着いています。マリーが祖父母、娘のマリアがママ・パパの世代でしょう。
親子を共に楽しませてくれるお話は、最後に、マリアとネズミの娘ネズネズが大きな行動を起こして終わります。その先が気になる方は、続編の『ないしょのかくれんぼ』を読んでみてくださいね。こちらもすてきな結末が待っていますよ。
<ミーテ会員さんのお声>
上の子が図書館で選んだ本です。人間とネズミ、お互いの生活に干渉することなく密かに育まれる友情がとても魅力的です。対象年齢がちょっと高めなので、下の子は興味を示さなかったけど、上の子は食い入るように見ていました。細かい絵は見ているだけで楽しいです。娘はネズミの家に興味津々でした。(2歳4か月と5歳2か月の女の子のママ)
作を手掛けたビバリー・ドノフリオさんは、映画化もされた小説『サンキュー、ボーイズ』(角川書店)で知られるアメリカの作家です。子ども向けの作品はまだ今作と続編のみ。今後が楽しみですね。
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