毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、サムイル・マルシャークさんの作、ウラジミル・レーベデフさんの絵による『しずかなおはなし』。1956年にロシア(旧ソビエト連邦)で出版され、1963年にうちだりさこさんの訳で日本に紹介、出版されたロングセラーです。
ハリネズミの父さん母さん、それから小さな坊や。静かな、静かな足音で、真夜中の暗い森の中を散歩しています。ところが、それを見つけた悪いオオカミ達が、こっそりとしのびよって来て…。
冒頭の一文で「小さな声で読むお話」だと告げられます。続く「そっと そっと そっと」「静かな静かな」というくり返しに、読み手の声は自然と低く、小さくなっていくことでしょう。聞き手の子ども達も、それに合わせて息をひそめ始めます。ハリネズミ達の「とぷ とぷ とぷ」という音にならないほどの足音が聞こえてきたら、舞台が整った合図です。
墨絵のようにぼかした背景、黒や茶、青を基調にした暗い色彩が、秋の夜の冷たい空気を伝えています。草木も眠る静かな森に小さな変化が訪れます。ハリネズミ達はいち早く気が付き、体を丸め針を逆立てます。ページをめくると、迫力あるつがいのオオカミ。ハリネズミの親子に命の危険が迫っているのです。この頃には子ども達はすっかりお話の世界に入り込み、ハリネズミの坊やと一緒に、緊張して体を固くしていることでしょう。
しかしハリネズミ達は、生き延び方を知っています。体を丸めて柔らかい部分を隠し、硬い針をとがらせます。坊やも母さんの言う通りに丸くなり、じっと動かずに危機をやり過ごすのです。ハリネズミ親子は無事森の家に戻り、読み聞かせを聞く子ども達も、ハリネズミ達と共に命の危機を脱して、安心できる大人のひざ元へと戻ってくるのです。この緊張感と安心感こそが、この絵本が長く愛され続ける理由なのではないでしょうか。
<ミーテ会員さんのお声>
私と弟が昔読んでいた絵本が、実家にたくさん保管してあります。子ども達に選ばせたり、私が気分で選んだりして、折に触れて家に持ち帰っています。今晩は『しずかなおはなし』を寝かしつけに読みました。親子二代で同じ絵本を読むって、毎回不思議な気持ちになります。上の子は「体に針があるの?」「体がボールになるの?」とハリネズミの体の仕組みを不思議がっていました。(2歳5か月の女の子と4歳0か月の男の子のママ)
作を手掛けたサムイル・マルシャークさんはロシアの著名な詩人、ウラジミル・レーベデフさんはロシアを代表する絵本画家です。ふたりの作品として、『どうぶつのこどもたち』や、『こねこのおひげちゃん』などを日本でも読むことができます。
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