毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、きたむらさとしさんの『ミリーのすてきなぼうし』。小学2年生の国語の教科書にも採用された、2009年初版の人気作です。
ミリーは帽子屋さんでお気に入りの帽子を見つけますが、お金がなくて買えません。でも店長さんの粋な計らいで、ミリーは特別な帽子を手に入れます。大きさも形も自由自在、想像次第でどんな帽子にもなる、すてきな帽子です。その帽子をかぶって外に出たミリーは、帽子をかぶっているのは自分だけじゃないのだと気づきます。
目に見えないものを身に着けるお話と言えば、アンデルセンの『裸の王様』を思い出す方も多いのではないでしょうか。ありもしない「バカな人には見えない服」を、見栄っ張りの王様が「見える」と言い張り、裸で外を歩いて恥をかくお話です。
ミリーが帽子屋さんで買ったのも、実際には存在しない、見えない帽子ですが、王様と違ってミリーは幸せです。なぜなら想像力豊かなミリーには、自分の頭の上のすてきな帽子が見えるから。ミリーは道すがら、様々な想像を働かせます。大きく羽を広げたクジャクの帽子、おいしそうなケーキの帽子、花が咲き乱れる帽子。想像の帽子はどこまでも自由です。
ミリーのまわりの大人の反応もすてきです。帽子屋の店長さんは、ミリーのお財布が空っぽなことを知っても、大切なお客様のひとりとして丁寧に接客してくれます。ミリーのママも、帰宅するなり「新しい帽子、見て!」と言うミリーにちょっとびっくりしつつも、ミリーの楽しい想像を受けとめて、付き合ってくれます。
現実と空想が混じり合って描かれているため、小さな子には、どこまでが現実でどこからが空想なのか、わかりにくいかもしれません。逆に、このお話が理解できるようになったら、想像の翼を広げられる年齢になったのだと言えるでしょう。自由に想像することの楽しさ、すばらしさを教えてくれる一冊です。
<ミーテ会員さんのお声>
久しぶりの絵本タイムで、『ミリーのすてきなぼうし』をチョイス。読み終わった後、どんな帽子ならかわいいかなぁ、楽しいかなぁとおしゃべりしました。「ケーキがいいんじゃない? ショートケーキとかモンブランとか?」「お花はどう?」「いいね!じゃあ、明日おえかきしてみようか?」「うん、いいね♪」…というわけで、次の日におえかきタイム。娘は「カラフルマカロンと星形クッキーの帽子」、私は「クリスマスツリーの帽子」を描きました。(8歳1か月の女の子のママ)
作者のきたむらさとしさんは、1982年にイギリスで絵本作家としてデビューし、その後もしばらくイギリスを拠点に活躍されていました。近作『スマイルショップ』も、お金では買えないすばらしいものを描いた絵本。あわせてチェックしてみてくださいね。
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