毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、アーマ・E・ウェバーさんによる『じめんのうえと じめんのした』。1943年にアメリカで出版され、日本では1968年に藤枝澪子さんの訳で紹介された科学絵本のロングセラーです。
ニンジン、トウモロコシ、ジャガイモ…。よく目にする植物が地面の上と地面の下で、どんな役割を果たしているか知っていますか? 普段見る機会のない地面の下の様子まで断面図で描き、植物の葉と根の役割、植物と動物の関係、自然界の生き物のつながりを、子ども達にもわかりやすい絵とことばで伝えます。
絵本を開いてみると、どのページにも中ほどに線が引かれ、上が白い背景で「地面の上」を、下がオレンジで「地面の下」を表しています。通常は見えない地面の下は、断面図で描かれ、どのようになっているかが一目でわかるようになっています。
中には、さまざまな植物が描かれています。高くそびえる木、横に枝を広げた木、子ども達がよく知る野菜や花などが次々と紹介され、見た目がまったく違っていても地上と地下の両方にまたがって生えていることが知らされます。事実が丁寧に積み重ねられることで、すべてが「植物」というくくりに入ることが、ゆっくりと子ども達の頭にしみ込んでいきます。
この絵本が科学絵本としての面目躍如を果たすのは、ここからです。植物は、地面の上の葉に日光に当たると空気を取りこみ、地面の下の根っこから鉱物などが溶け込んだ水を取り入れ栄養物をつくる。つまり、光合成の仕組みに触れているのです。さらに植物だけが空気と土から栄養物をつくることができ、それができない動物は「植物のおかげで生きているのです」と、植物が地球上で果たしている役割まで描き切るのです。
子ども達に伝わるよう、丁寧にかみ砕いたことばと絵で説明しています。しかし、事実を積み重ねて「植物」という概念とその仕組みや役割を伝える様子は、科学的な態度そのもの。植物学者でもある作者のアーマ・E・ウェバーさんが子どもという読者にまっすぐに向き合ってつくった、あなどれない一冊なのです。
<ミーテ会員さんのお声>
図書館へ行く前に公園でひと遊び。久しぶりに行った公園は草がボーボー! 長男が「なんで草ボーボーなん?」と聞くので、「図書館で調べたら?」と言って、図書館へ。そこで見つけたのが『じめんのうえと じめんのした』。ちょっと難しいかなと思ったけれど、自分が知りたいことだったからか、一生懸命聞いていました。(2歳8か月と5歳11か月の男の子のママ)
アーマ・E・ウェバーさんの絵本は他に、『たねのりょこう』が日本語で出版されています。興味のある方は、図書館で探してみてくださいね。
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