毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、酒井駒子さんによる『ゆきがやんだら』。2005年に出版された人気作です。世界各国で翻訳されていて、アメリカではニューヨークタイムズ紙「今年の絵本ベスト10」(2009年)、オランダでは『ぼく おかあさんのこと…』に続いて「銀の石筆賞」に選ばれています。
夜中から雪が降り積もって、今日は園がお休みに。ぼくは飛び起きて外に出ようとしたけれど、ママが風邪をひくから雪がやむまで外に出ちゃだめだって…。
「まだ寝てていいよ」。起き抜けにそんなことを言われたら、それはもう非日常のはじまりです。ママがカーテンを開けると、外は雪。本降りの雪はウサギの子にとって、寝巻きで外に飛び出したくなるほどワクワクする特別な出来事です。
外で遊ぶことを止められたウサギの子は、窓から雪が降り積もるのを眺め、ベランダで雪だんごをつくり、カーテンを開けては外の様子をうかがいます。何をしていても「雪がやんだら(外で遊ぼう)」と思っていることが伝わります。家と外が雪で静けさに包まれれば包まれるほど、子どもの心の中にある期待感が際立つのです。
思いがけない雪、思いがけない休み、ママとふたりっきりで過ごした時間。特別な一日の最後には、「ちょっとだけね」というママのことばと共にとびきり特別な出来事が訪れました。いつもは寝ている時間に、誰も踏んでいない新雪に足跡をつけ、雪のおばけをつくって遊んだ経験は、一日家の中から眺め続けた雪景色や「雪がやんだら」という思いと共に、胸の奥深くにしまい込まれたことでしょう。
一方、子どもの瑞々しい高揚感と対照的なのが、ママの様子です。出張のパパが帰ってこられない、買い物にも行けない状況の中、降りしきる雪の中遊びだがる子どもをなだめながら、トランプ遊びをしてあげます。そこには、親世代にとって懐かしい団地の風景と共に、現実的な日常があります。時々垣間見える日常がBGMとなって、読み聞かせを聞く子どもにとってはもちろん、親にとっても、まるで実際の記憶のようなお話になっているのです。
<ミーテ会員さんのお声>
酒井駒子さんの本、家族みんなで大好きです。息子の今のお気に入りは『ゆきがやんだら』。酒井さんの絵は、静かな音が聞こえる気がします。夜の銀世界にお母さんと出かけるシーンがすごいです。新雪の積もる静かな夜が広がります。ぞくっとするような、迫力です。息子が寝てしまってから、ひとりで眺める事もあります。あぁ、うっとり。(3歳3か月の男の子のママ)
酒井さんの作品は他に、『よるくま』、『ぼく おかあさんのこと…』を、ロングセラー&名作ピックアップでご紹介しています。併せてご覧ください。
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