毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、『おやすみなさい おつきさま』の作者として知られるアメリカの絵本作家マーガレット・ワイズ・ブラウンさんの『たいせつなこと』です。絵はレナード・ワイスガードさん、原書『The Important Book』は1949年初版。日本では半世紀以上の時を経て、2001年に内田也哉子さんの翻訳で出版されました。
グラスにとって大切なのは、向こう側が透けて見えること。スプーンにとって大切なのは、それを使うと上手に食べられるということ。身近に当たり前にあるものが、そのものであるために大切なことは何かを、やさしく詩的な文章で語りかけます。
草、りんご、靴などの身の回りにあるものや、雨、風、雪といった自然現象について、一つひとつ丁寧に、その特徴と“大切なこと”が綴られています。絵は、マーガレット・ワイズ・ブラウンさんとの共作も多いレナード・ワイズガードさん。落ち着いた色合いで描かれた美しい絵が、詩のような文章とマッチしています。
「ひなぎくにとって大切なのは、白くあること」「雨にとって大切なのは、みずみずしく潤すということ」…それぞれにとって何が大切か、ということについて、読む人によっては「ちょっと違うな」と感じることもあるかもしれません。そんな時は、自分なりの“大切なこと”を考えて、親子で話し合ってみてはどうでしょうか。普段じっと見つめることすらない身近なものについて、じっと考えてみることで、感謝の気持ちが芽生えるかもしれませんし、物事の本質を見抜くトレーニングにもなるかもしれません。
そして、この絵本の中で一番“大切なこと”と思われるのは、最後の見開き。「あなたにとって大切なのは…」と語られるページです。情報やものがあふれる時代ですが、“大切なこと”は忘れずに伝えていきたい、と感じさせる絵本です。
<ミーテ会員さんのお声>
最近、寝る前は娘が私に読み聞かせをしてくれます。少し前までは、かなりたどたどしい読み方で、聞いていて思わずうとうとしちゃうこともあったのですが、いつの日からかスラスラと読めるようになり、今では感情も入れて読んでくれます。おかげで私にとっても楽しみな時間になりました。
最近読んでくれたのは『たいせつなこと』。この絵本は読んでもらうと、実に心地よく心に染みわたるものがあります。最後のページの「あかちゃんだった あなたは からだと こころを ふくらませ ちいさな いちにんまえに なりました」を娘が読んでくれた時、なんだかジーンときちゃいました。いろんな思い出や思いがあふれるフレーズです。
この絵本のメッセージは最後のことばに尽きるのかな。伝えたいことばだし、いつもそう思っていたいし、自分にもそう言ってあげたいことばです。(7歳2か月の女の子のママ)
マーガレット・ワイズ・ブラウンさんとレナード・ワイズガードさんのコンビによる絵本は、1947年コールデコット賞受賞作の『ちいさな島』(ゴールデン・マクドナルドはマーガレット・ワイズ・ブラウンさんのペンネーム)をはじめ、『きこえる きこえる』や『よるとひる』、『たんじょうび おめでとう!』などたくさんあるので、チェックしてみてくださいね。
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