毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、佐野洋子さんの『おじさんのかさ』です。初版は1974年(銀河社、1992年より講談社から刊行)。『100万回生きたねこ』の3年前に出版された、佐野洋子さんの代表作のひとつです。
黒くて細い立派な傘を、とても大切にしているおじさん。おじさんは、雨が降っても傘を差しません。だって、傘がぬれてしまうから。でもある日、「あめが ふったら ポンポロロン」という子どものうたをきっかけに、初めて傘を開いてみると…。
前半には、傘を大事にしすぎるおじさんの日常が描かれています。少しくらいの雨なら濡れたまま歩く、もうちょっと降っている時は雨宿りする、急ぐ時は傘をしっかり抱いて走る、なかなか雨が止まない時は知らない人の傘に入れてもらう、もっと大降りの日はどこへも出かけない…。おじさんの傘への偏愛ぶりは度が過ぎていて、どこかユーモラスでもあります。
大切な傘に対する接し方から、おじさんのこだわりや頑固さ、偏屈さが垣間見えたところで、おじさんに転機が訪れます。きっかけは、公園で子ども達が歌っていたうた。「あめが ふったら ポンポロロン あめが ふったら ピッチャンチャン」…相合傘の男の子と女の子が、雨の中を大きな声で歌いながら帰っていくのを見たのです。そしてそのうたに釣られるようにして、おじさんはとうとう傘を開きます。
物語の最後、帰宅したおじさんに対する奥さんの台詞には、思わずくすっと笑ってしまうことでしょう。子どもは雨の日の楽しさを再確認し、大人は「人は何かきっかけさえあれば変わることができる」「何事にも柔軟に取り組んでみると、新たな発見がある」といったことを考えさせられる一冊です。
<ミーテ会員さんのお声>
ここのところ、ずっと雨が降り続いてたので、『おじさんのかさ』を読んであげた。この本を2歳の次男に読んであげたのは、初めてかもしれない。雨が降ったらポンポロロン、雨が降ったらピッチャンチャン…このフレーズに次男もイチコロ。長男が小さい頃、同じくこの台詞が大のお気に入りだったっけ。(2歳7か月と5歳4か月の男の子のママ)
出版当時、おじさんが主人公の絵本はとてもめずらしかったのだとか。厚生省中央児童福祉審議会推薦文化財や全国学校図書館協議会選定図書、日本図書館協会選定図書などにも選ばれた、大人も楽しめる名作です。
無料会員登録後は、過去の「絵本子育て相談室」など、
様々な絵本情報が読み放題!
ぜひミーテにご登録ください♪