毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、イギリスの作家フィービ・ウォージントンさんとセルビ・ウォージントンさんの『パンやのくまさん』です。原書『TEDDY BEAR BAKER』の初版は1979年。日本では間崎ルリ子さんの訳で1987年に出版されました。
パン屋のくまさんは朝、とても早くに起きて、パンやパイ、お誕生日のケーキをつくります。焼き上がったら、半分を店に並べ、半分を車に積み込んで、売りに出かけます。パンが売れたら戻ってお店番。仕事が終わると、家に帰って晩ごはんを食べ、お金を数えて貯金箱にしまいます。忙しい一日を終えてくたびれたくまさんは、2階に上がって目覚まし時計をセットすると、ぐっすりと眠りました。
パン屋のくまさんの朝起きてから夜寝るまでの一日を、淡々とした語り口で描いたお話です。くまさんはいつもの時間に起きて、いつも通りに仕事をして、食事をして、翌日に備えて眠りにつきます。新しいパンをつくろうと奮闘して、大失敗してしまう…といった事件は、このお話の中では起こりません。描かれているのは、いつもと変わりのない一日を規則正しく、実直にこなしていく姿。礼儀正しく、子どもにはやさしく、慎ましく暮らすくまさんの日常です。
パン屋の仕事や日々の暮らしについて、くまさん自身がどのように感じているかを描写する文章はありません。でもその仕事ぶりを見ていると、くまさんがパン屋の仕事に誇りをもって臨んでいること、平凡な日々を幸せに過ごしていることが感じとれます。
子どもはお店屋さんごっこが大好きですから、この絵本を読むとパン屋さんごっこがしたくなるかもしれません。パンの生地をこねる時の「どさっ どさっ どさっ!」、通りでお客を呼び寄せる鐘の「がらん がらん がらん!」、お金を数える時の「1こ、2こ、3こ!」などは、そのままごっこ遊びにも取り入れられそうです。シンプルなお話ですが、だからこそ何度でも読みたくなる絵本です。
<ミーテ会員さんのお声>
息子には大きくなったらなりたいものがふたつあって、ひとつは消防士(こちらは母の刷り込み)、もうひとつはお店屋さんです。はじめは大好きなアイスクリーム屋さんと言っていましたが、この絵本を読んでからは断然パン屋さん。ときどき行くパン屋さんでも、奥でパンを焼く人をじーっと見つめて「ぼく、やっぱりパン屋さんになりたい」と言いました。どんな仕事についても、このくまさんのように、働くことを誇りに思う人になってほしいです。(3歳6ヶ月の男の子のママ)
『せきたんやのくまさん』、『ゆうびんやのくまさん』、『うえきやのくまさん』など、くまさんは他にもいろいろな仕事をしています。今年9月にはこみやゆうさんの訳で、シリーズ続編として『ボートやのくまさん』と『しょうぼうしのくまさん』も出版されました。くまさんの仕事ぶり、チェックしてみてくださいね。
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