毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、長新太さんによる『かえるとカレーライス』。1988年に月刊「こどものとも年少版」に掲載され、96年に書籍化されたナンセンス絵本のロングセラーです。
ぼくはかえるです。ケロケロケロ。ある時、ぼくが住んでいる池のそばの山が噴火して、なんとカレーが流れ出しました! カレーライスが大好きなかえるは、カレー山に登って、いただきまーす!
平らで広い大地に、お椀を伏せたような白い山。その正面にはかえるが住む池があります。そんな静かなシーンから、一転、山から煙が出てきて、ドーンと噴火。黄色い溶岩が流れ出したかと思いきや、カレーのにおいがしてくるという、かえるもびっくりの怒涛の展開が繰り出されます。
そのかえるはカレーが大好きで、体の何倍もあるカレーライス山に取りついて無心に食べ、最後にはかえるの鳴き声まで…。
たたみかける展開と呼応するように、絵の筆致もパワフルそのもの。またストーリーを通して、まるで定点カメラのようにアングルがほとんど変わらないのも大きな特徴です。ぐっと引いた画面は、カレーライス山の大きさを感じさせます。一方のかえるは、主人公にもかかわらず、小指の爪サイズに描かれるユニークさ。
こちらの想像を次から次へと上回る展開に、大人は頭がクラクラ。子ども達は大喜びして、何度も読んでもらいたがるのです。
「こどものとも年少版」の折り込みふろくにある作者のことばで、長新太さんは「100000匹の蛙にカレーライスをすすめたら、一匹くらいカレーライスが大好きなのがいるはずです。自由自在にいろいろなことを考えるのはオモシロイ。自由にものを考えるのはいいことだ」と語っています。全力で面白がって本気で自由自在…長さんの絵本が今なお子ども達に人気なのは、その辺りに秘密があるのかもしれません。
<ミーテ会員さんのお声>
私はなかなかこの絵本の面白さがわかりませんが、息子は何度も「読んで」と持ってきます。「ドーン」と山が噴火するところが好きで、いつも片足を高くあげて「ドーン」と下ろします。座って聞いていても、「きました!」って感じで立ち上がってやります。(1歳9か月の男の子のママ)
長新太さんの作品は他に、キャベツくん、ごろごろにゃーん、ぼくのくれよんなどを、ロングセラー&名作ピックアップでご紹介しています。まだの作品は、ぜひ読んでみてくださいね。
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