イチ押し絵本情報

「どろぼうがっこう」のおかしな変なお話(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.242)

2019年7月11日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 「どろぼうがっこう」のおかしな変なお話

今回ご紹介する絵本は、加古里子さんによる『どろぼう がっこう』。1973年に出版されたロングセラーです。

村はずれに“どろぼうがっこう”がありました。「明日までに何か泥棒をやってこい」と先生が宿題を出しても、誰もちゃんとした泥棒はできません。そこである夜、みんなは町で一番大きな建物にしのびこんで…。

見開き

「おいのこもりという変な名前の森に、金と銀の目をした変なみみずくが住んでいました…」と、お話が始まります。導入の2文の中には「変な」ということばが5回。たとえ他の遊びをしていても、たとえ気が散っていても、「変な」ことが大好きな子ども達はお話に飛びついてきます。

期待が高まる中登場するのは、歌舞伎の大泥棒・石川五右衛門を思わせる、くまさかとらえもん先生。生徒達はすべて不敵で個性的な面構えをした大人の男性。およそ絵本の登場人物らしからぬ怪しいメンバーですが、「どろぼうがっこうのかわいいせいとたち」と紹介されて、子ども達はニヤニヤ。

宿題はなんと泥棒をすることで、しかも全員、落第・零点という見事なポンコツぶり。まるでコントのようにたたみかけてくるボケに、読み聞かせる大人も思わず笑ってしまうはず。あとがきによると、もともと「笑劇」としてまとめた作品だそうですから、納得の流れです。

この絵本が子ども達に人気な理由がもうひとつ。生徒達の独特な言い回しです。「はーい」「へーい」「ほーい」「わかりやしたー」に、「くまさかせんせい、ごめんなせー」。夜の遠足の際のうた「ぬきあし、さしあし、しのびあし」と同様、読み終わった後も思わず口にしたくなるリズミカルで面白いことばがくり返されるのです。

加古さんは1950年代、会社勤めをしながら子ども会の活動に従事。この絵本は、その際に子ども達のためにつくった紙芝居がもとになっています。ミーテカフェインタビューの中で、子ども達は正直なので、面白くないと途中で他のことをしに出かけてしまうから、「子どもたちを惹きつけるためには、ザリガニ捕りより面白い紙芝居をつくらなければいけない」と語っておられます。この経験から、子ども達の興味をつかんで離さない作品が生まれてきたのでしょう。

<ミーテ会員さんのお声>
担任のくまさか先生と、かわいい(?)どろぼうがっこうの生徒達のやりとりがリズミカルで面白い。「はーい」「へーい」「ほーい」「がってんでござんす」「ごめんなせー」。お兄ちゃんは生徒達のセリフを何度も口に出しては、笑っている。妹はおかしさを理解するのが難しいようで、読み聞かせ後も不思議そうな表情。今度図書館で、この絵本の人形劇が行われるので、子ども達と一緒に行ってみるつもり。 今から楽しみだな~♪(2歳1か月の女の子と4歳4か月の男の子のママ)

『どろぼうがっこう』の出版から40年後の2013年には、待望の続編『どろぼうがっこうぜんいんだつごく』『どろぼうがっこう だいうんどうかい』が出版されています。先生とかわいい生徒達にもっと会いたい方は読んでみてくださいね。

▼加古里子さんのインタビューはこちら
「子どもたちが 賢く健やかに育つように」


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