毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、村上祐子さんの文、片山健さんの絵による『ゆうちゃんのみきさーしゃ』。1968年に月刊絵本「こどものとも」の一冊として刊行され、1999年にハードカバー化されたロングセラーです。
ゆうちゃんがお菓子の缶を転がすと、ごろごろことんと止まりました。その上にコップを乗せたら、ミキサー車に早変わり! ゆうちゃんはミキサー車の運転手となって出かけます。はちみつ、卵、牛乳などを行く先々で分けてもらって、ごろごろ回しながら友だちのいる公園に戻り、ミキサー車のボタンを押すと、中からはアイスクリームが…!
アイスクリームを思う存分、好きなだけ食べてみたい…そんな願いを抱いたこと、誰だって一度はあるのではないでしょうか。この絵本は、そんな子どもの夢をかなえてくれるファンタジーです。しかも、アイスクリームをつくる工程までも体験できるのですから、楽しいことこの上ありません。
「ぼくは ゆかいな みきさーしゃ なんでも おなかに ぶちこんで ごろごろ まわせば たちまちに すてきな おかしが できあがる」
ミキサー車はこんなうたを歌いながら、森へと入っていきます。「すてきな おかし」とは一体何なのか、初めて読む子はこの時点ではわかりません。最初にはちみつ、次に卵と牛乳、さらに金色の果物、そして最後に雪のかたまり。ミキサー車のおなかに詰め込んだ材料をもとに、何ができるのか想像するのも、この絵本の楽しみのひとつです。
ファンタジーの絵本は「行って帰ってくる」という構造をとるものが多く、この絵本でもゆうちゃんは森の奥からお友だちのいる公園へと戻ってきます。でも、ミキサー車はもとのお菓子の缶に戻ることなく、最後までそのままの姿。子ども達の行列ができた公園で、“1000人で食べてもまだ残るほど”のアイスクリームをどんどん出しているシーンで物語は終わります。夢がしぼむことなくそのまま終わる、子ども達にとってうれしいラストです。
「乗り物絵本×食べ物絵本」という組み合わせも、子ども心を惹きつけるポイント。乗り物に興味のない子も夢中になれるお話ですよ。
<ミーテ会員さんのお声>
働く車大好きな息子が喜ぶだろうと思って、他の何冊かと一緒に購入しました。お菓子の缶がミキサー車に変身。そのミキサー車がもらった材料を全部合わせてアイスクリームをつくります。やさしい色遣いと、夢のある内容にわくわくします。
息子は、赤ちゃんの頃から持っていたおもちゃのミキサー車を動かしながら、「ねえねえお母さん、コロッケ入ってるの」と言いました。 息子のイメージでは、大好物のコロッケがミキサー車の中にいっぱいつまっているんだろうな、と思います。 この本に触発されたに違いありません。想像力に脱帽。(2歳6か月の男の子のママ)
絵を担当された片山健さんは、この作品で絵本作家としてデビュー。その後しばらくの間、絵本から遠のいていたそうですが、お子さんの誕生を機に、『おなかのすくさんぽ』や、『コッコさんのともだち』をはじめとする「コッコさん」シリーズを描かれています。
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