毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、長新太さんによる『ぼくのくれよん』。1973年に月刊絵本フレンド・シリーズに掲載され、1977年に銀河社、1993年に講談社から出版されたロングセラーです。
このクレヨンは、ゾウのクレヨン。だから、とても大きいのです。青いクレヨンで描くと、カエルは池と間違えて飛びこみ、赤いクレヨンで描いたら、火事だと思って動物達が逃げ出しました。黄色のクレヨンで描いてみると…。
ページに大きく描かれたクレヨン。猫と同じくらいの大きさがあります。そこに大きな灰色の鼻が伸びてきて、これはゾウのクレヨンなのだと教えてくれます。子ども達にとってごく身近にあるごく普通のクレヨンから始まったのに、「そんなに大きいの!?」と驚いているうちに、一気に話のサイズが大きくなっていきます。
大きなゾウは大きなクレヨンで、何を描くのでしょう。青いクレヨンでびゅーびゅー描いたのは、大きな丸。赤いクレヨンでは塗りつぶし、黄色いクレヨンでは長くて大きな楕円を描きます。ダイナミックで描き跡が残るクレヨン画は、自由自在。一見無造作で、子どもにも描けそうに見えます。読み聞かせてもらった子ども達の多くが、自分も絵を描きたくなるのは自然なことでしょう。
そして何気なく描かれた色や形の絵を、何かに見立てて遊ぶのは、子ども達が得意とするところです。お話の中でも、絵を池や山火事と間違えて、動物達は大騒ぎ。それが池や山火事ではなくて、二重にびっくりします。出版社・絵本館のホームページ内の「編集長の直球コラム」に、この絵本に関する長新太さんのことばが紹介されています。「青いくれよんで池を描くと、ふつう絵本ではすぐに池になってしまうんだけど、それじゃ、おもしろくないと思って、飛び込めなくしたんだ」。
子ども達も、もちろんここで裏切られてびっくり。さらにライオンに怒られて、ゾウと一緒にしょんぼり。それでもめげずにクレヨンを手に走り去っていくゾウの姿は、遊びに夢中になっている子どもの姿そのものです。そんな子どものような心をもった作品だからこそ、子ども達に長年愛され続けているのでしょう。
<ミーテ会員さんのお声>
図書館で借りた『ぼくのくれよん』。お絵かきがさほど好きではなく、まだ丸が描けない娘が、少しでも興味をもってくれたらいいな…。そんな気持ちで借りてみたら、大ヒット。娘も私も大好きになりました。「ゾウさんのクレヨンは大きいね、〇〇ちゃんのは小さいね」などと話しかけていると、同じ色のくれよんでスケッチブックにぐるぐる描きだしました。うれしかった~!(1歳7か月の女の子のママ)
この絵本には、大型絵本があります。猫サイズの大きなクレヨンを実感できますよ。図書館などで見かけたら、ぜひ読んであげてみてくださいね。
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