毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、乾栄里子さんと西村敏雄さん夫妻による『バルバルさん』。2003年に月刊誌「こどものとも」に掲載され、2008年にハードカバー化した人気作です。
バルバルさんは床屋さん。今日は、なぜか変わったお客さんばかり。ライオンが髪を切りにきたり、ヒツジがプードルのようにカットしてほしいときたり。仕事が終わって、看板をしまおうとすると…。
昔ながらの懐かしい雰囲気の床屋さん「バルバル」。ごく普通の街の床屋のはずですが、ある日のお客さんは変わっていました。ライオンです。バルバルさんは、びっくりしつつも普段通りに応対します。百獣の王のからまったたてがみをハサミでチョキチョキカット、丁寧にくしでとかしたら、驚きの仕上がり。バルバルさんの人柄と仕事ぶりがはっきり伝わってきます。
変わったお客さんの変わったリクエストを受けて、お客さんの期待以上の仕事をするバルバルさん。子ども達は、ページをめくった先の仕事の完成度にびっくりし、お客さんのツッコミどころ満載なたたずまいに思わずクスッと笑ってしまうことでしょう。
「こどものとも年中向き」の折り込み冊子で、作の乾栄里子さんがバルバルさん誕生の秘密を明かしています。街の床屋さんのたたずまいを見ながら「秘められた職人魂」を感じ、「床屋さんの仕事って、なんてかっこいいんだろう」と尊敬の念をふくらませたところから生まれたそう。プロの心意気が、ユニークなリクエストにどこまで応えられるものか、ますます期待してしまうというものです。
お話の最後には、お話のキーとなる「どうぶつの」という手書きの文字が登場します。「あれは実は、息子が書いたものをそのまま使ったんですよ。上の子が小学1年生くらいのことです」と絵の西村敏雄さんはミーテカフェインタビューの中で明かしています。
乾さん、西村さんの双方にとって絵本デビュー作となった今作。おふたりともテキスタイルデザイナーであったことからセンスあふれる作品になっています。ただそれだけではなく、ユーモラスであたたかい雰囲気があるのは、家族ぐるみで生みだされた物語だったからなのかもしれません。
<ミーテ会員さんのお声>
家族で行ってる美容院に置いてある絵本『バルバルさん』。絵もとても可愛くて、内容もわくわく。娘はこの絵本がお気に入りで、いつも読んで待ってます。今回は初めて前髪を切ってもらうことに。絶対嫌がると思ったのに、むしろうれしそうでびっくり。帰ってから「バルバルさんにきってもらったね~」だって。そうか、自分もバルバルさんに髪を切ってもらったつもりになってたのか!(7か月の男の子と2歳7か月の女の子のママ)
2017年に、続編の『バルバルさん きょうは こどもデー』が月刊「こどものとも」に掲載されています。ハードカバー化が待たれますね。
▼西村敏雄さんのインタビューはこちら
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