イチ押し絵本情報

「だめよ、デイビッド!」叱り続けても、ママ本当は…(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.206)

2018年10月25日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 「だめよ、デイビッド!」叱り続けても、ママ本当は…

今回ご紹介する絵本は、デイビッド・シャノンさんの『だめよ、デイビッド!』。2001年に出版された「デイビッド」シリーズの第1作です。

泥んこのまま家に入る、お風呂で騒ぐ、おもちゃは散らかしっぱなし…。見開きページいっぱいにくり広げられるデイビッドの「だめ」なことの数々。叱ってばかりのママですが、本当は…。

見開き

重ねた本に危なっかしく乗って、金魚とたっぷりの水が入った水槽に手を伸ばす男の子。やってはだめなことのオンパレードの状況に、この子は一体どんな子なのやら…と知りたくなって、思わず絵本を手に取った方も多いのでは。

でも表紙は序の口だったとすぐに分かります。泥だらけのまま家に入り、お風呂の水を出しっぱなしで大騒ぎ、素っ裸で往来に飛び出す…。このくらいの年の子ならば思い当たるような「だめ」なことを、これでもか、これでもか、とやってのけます。そのたびに、様々な言い回しで「だめよ、デイビッド!」と叱られるのです。

文章は、ママがデイビッドを怒ることばのみ。対して絵は非常に雄弁です。状況をことばで説明せず、絵は細部までしっかり描かれていることから、読者は自分の経験に照らしながらデイビッドのしたこと、これからすることを想像することでしょう。

色鮮やかでダイナミックな絵の中心は、漫画のように線で描かれたデイビッド。実は、作者のデイビッド・シャノンさんが5歳の頃に描いていた絵を元にしているそう。絵は子どもが描いたよう、名前は作者と同じ…となると「この絵本は作者の実体験なのでは?」と想像したくなります。さまざまなしかけが、絵本の話にとどまらず、想像力を刺激するのです。

しかし「第7回日本絵本賞読者賞」という、読者が選ぶ賞に選ばれた最大の理由は、ラストにあるでしょう。「だめ」なことを散々して、その都度ママに怒られるデイビッド。とうとう家の中の立派な花瓶を壊してしまいます。ハッと我に返ったデイビッドはすっかりしょげかえり、先ほどまでのヤンチャ坊主とは思えない表情を浮かべ、目には涙…。

ただ我に返ったのは、デイビッドだけではなかったようです。ママはいつものように「ほうら、わかったでしょ」と言った後、デイビッドの表情に気づくのです。どれだけだめなことをしようと、いくら言ってもわからなくても、大好きな我が子。心から言いたいことばが、ここで出てくるのです。「よしよし、デイビッド…だいすきよ!」。心の中心にあって、しかし普段は言わないことを代わりに言ってくれる。だからこそ、愛され続けている絵本なのでしょう。

<ミーテ会員さんのお声>
今日は朝から『だめよ、デイビッド!』を3回…。ハマっています。その後ばあばの家で遊んで汗だくになったので、一緒にお風呂に入ってもらいました。あがった瞬間、息子がすっぱだかのままものすごい勢いで走り出し、そのまま開けてあったマンションのドアを出て、廊下から踊り場、そして階段へ! あまりのすばやさと、その後ろ姿がデイビッドにそっくりなのとで、止めるのも忘れ、しばらく見惚れてしまった私。と、息子が振り向いて、「『だめよ!』でしょ、おかあさん」とニヤニヤ。夏だし、いいか?(笑)(2歳8か月の男の子のママ)

シリーズ作品に『デイビッド がっこうへいく』などがあるほか、シリーズ最新刊『クリスマスだよ、デイビッド!』が刊行されたばかり。平和なクリスマスとはならなそうですが…いかに!?


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