イチ押し絵本情報

おにぎりを握る手の動きに注目(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.205)

2018年10月18日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 おにぎりを握る手の動きに注目

今回ご紹介するのは、平山英三さんの文、平山和子さんの絵による絵本『おにぎり』。1981年に月刊絵本「こどものとも年少版」の一冊として発行され、その後、1992年にハードカバー化された絵本です。

水をつけた手の平に塩をつけ、炊きたてのごはんをのせて「あつ、あつ。ふっ、ふっ」。「ぎゅっ」と握ったら、真ん中に梅干しを埋めて、もう一度「ぎゅっ。ぎゅっ」。手の中で「くるっ、くるっ」と回して海苔を巻けば、おにぎりのできあがり。はい、どうぞ。おにぎりができあがるまでの工程が丁寧に描かれた絵本です。

見開き

文章の平山英三さんは、『ぽとんぽとんはなんのおと』の絵などでおなじみの絵本作家。絵は『くだもの』の平山和子さん。ご夫婦による共作です。

炊きたてのごはんから立ち上る湯気、すっぱそうな梅干し、手で握られたおにぎり特有の丸みを帯びた三角形、巻かれた海苔の艶やかな黒色。ほぼ原寸大で描かれた写実的な絵は、温度や質感までも臨場感たっぷりに表現しています。小さな子どもなら思わず手を伸ばしてしまうことでしょう。

できあがった9個のおにぎりのうち、手前の3つはミニサイズ。子ども用に握られたものと思われます。握る人の手のぬくもりや愛情までもが、ひしひしと伝わってきます。

絵と文どちらもひとりで手がけた作品が多い平山和子さんですが、『おにぎり』については、もともと平山英三さんが『子ども技術史』という発想で考えていた絵本が原点となっているとのこと。「子どもが生きていくために獲得していく技術、身近に見る技術とは何だろうと、二人でよく話してまして、『手を使う』ことを表現したいと思ったのです」(福音館書店 母の友編集部著『絵本作家のアトリエ3』)と語っておられます。ついつい、おいしそうなおにぎりばかりに目がいきがちですが、ぜひ手の動きにも注目してみてください。

<ミーテ会員さんのお声>
ママがしなくても自ら手を動かしておにぎりをつくる。「うめぼしをうめて」のシーンでは「うめて」と上手に言えるようになった。 お弁当箱に入れるところで「おいしかったね。残りはお弁当にしてお外で食べようか」というと「うん!」とお返事してお弁当箱を受けとる仕草。「いってらっしゃい」と言うと抱っこから降りて部屋のドアのところまで歩いて行く。そのおままごとみたいなのがかわいくて楽しい。(2歳2か月の女の子のママ)

新刊情報でもおにぎりの絵本をご紹介したばかりですが、おにぎりの絵本は他にもまだまだたくさんあります。「みんな大好き! おにぎりの絵本」でも紹介しているので、チェックしてみてくださいね。


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