毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、中川ひろたかさんと村上康成さんの『おおきくなるっていうことは』。1999年に出版された、「ピーマン村の絵本たち」シリーズの一作です。
おおきくなるっていうことは、洋服が小さくなること、新しい歯が生えてくること、あんまり泣かないこと…。「おおきくなるっていうことは」と心地よいくり返しをしながら、少しずつ子ども達に「おおきくなる」ことの本当の意味を教えてくれる絵本です。
「おおきくなったね」と、子ども達はたくさんの人達から、数え切れないほどの数多く声をかけられてきていることでしょう。年齢があがったから? 背が高くなったから? そうじゃない時にも言われるけれど、どういう意味かな? そんな先生の語りかけが聞こえるようです。
「おおきくなるっていうことは、◯◯ということ」。体の成長や心の成長、できることが増える…といった子ども達にとってわかりやすい具体的な成長の瞬間をとらえた例を、子ども達の心にしみこむようくり返します。
子ども達が一通り「おおきくなる」イメージができたところで、先生は子ども達の顔をみながら言います。「おおきくなるっていうことは ちいさなひとに やさしくなれるってこと」。先生は、一番伝えたいことばを、おおきくなった時にふと思い出してほしいことばを、そっと贈ります。
絵本を読み聞かせてもらう年齢によって、ピンとくることば、こないことば、前に読んだ時とは違って聞こえることばがあるでしょう。子どもに読み聞かせる大人は、その子の成長の瞬間を思い出しながら、心のアルバムを開くかのような思いを込めながら読むでしょう。
作の中川ひろたかさんが心を込めて送り出したことばを、大人達がそれぞれの思いをのせて読み聞かせる。ほかのピーマン村のシリーズに比べて、面白おかしいことは少ない一冊ですが、子ども達が「この本読んで」と持ってくるのは、重ねられた大人達の思いを感じ取っているからではないでしょうか。
卒園のタイミングのみならず、進級や誕生日など、子どもの成長を感じた時など折に触れて読み返したくなる絵本です。
<ミーテ会員さんのお声>
今の息子に読んであげたいなぁとずっと思っていた『おおきくなるっていうことは』を、ようやく図書館で見つけて読み聞かせをしました。息子は終始無言でしたが、すごく集中してたみたい。「おおきくなるっていうことは~○○できるようになること」というくり返しが何度かあります。決して「できるようにならなければ」という意味ではないのですが、息子はその度に「できなくてもいいんだよ」と言っていました(笑) でも、自分よりも小さな子にやさしくなれるって部分は、うなずいていました。
実は、この絵本を借りた図書館の帰り、「僕、ずっと子どもでいたい」と息子がいいました。ほかのお友だちに比べても、幼さが残る息子。その時はいろいろ考えてしまい返事が出来なかったのですが、「おおきくなるっていうことは、とってもうれしいことなんだよ」と言ってあげられたらよかったかな。(4歳4か月の男の子のママ)
ピーマン村のシリーズの1冊目は『さつまのおいも』。こちらでシリーズの誕生秘話などもご紹介しているので、合わせて読んでみてくださいね。
▼中川ひろたかさんのインタビューはこちら
「絵本や歌は、親子が仲良くなるための道具」
▼村上康成さんのインタビューはこちら
「絵本を通じて“自分”を見つけてほしい」
無料会員登録後は、過去の「絵本子育て相談室」など、
様々な絵本情報が読み放題!
ぜひミーテにご登録ください♪