毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、内田麟太郎さんの文、西村繁男さんの絵による『がたごと がたごと』。1999年に出版された人気作です。
駅でたくさんのお客を乗せた列車が、がたごとがたごと。野を越え山を越え、ずんずん進んでいきます。終点の駅で降りてきたお客は…あれ? 動物やお化けに変わっている? 何とも不思議な列車の旅を描きます。
駅でお客を乗せた列車が、街を抜けたり、山を越えたり、トンネルをくぐったりとしばらく走って、また駅でお客を降ろす…その描写が3回くり返されるだけなのですが、単純な電車絵本と思って読んだら大間違い。文章は短くシンプルですが、絵の中にはとても多くの情報が描き込まれていて、見応え抜群なのです。
乗った駅と降りた駅とをよく見比べれば、「ああ、この人がこんな風に姿を変えていたのね!」と気づくことでしょう。ヒントは乗客の服装や持ち物。あまり雰囲気の変わらない人もいれば、驚きの変貌を遂げている人もいます。思いも寄らない展開と発見する楽しさで、二度見、三度見間違いなしの一冊です。
この絵本をつくるにあたって、作者の内田麟太郎さんは、「おきゃくが おります ぞろぞろ ぞろぞろ」に「※降りてくるのは、ひとはひとでも、お化けたちである」とト書きで入れたテキストを用意されたとか。絵を担当された西村繁男さんはインタビューの中で、「このト書きがすごく大事で、これがあるからこそ発想がばーっと広がっていく」とおっしゃっています。
続編の『おばけでんしゃ』と『むしむしでんしゃ』もユーモアいっぱい。ページの隅々まで何度も見て、たっぷり味わい尽くしましょう。
<ミーテ会員さんのお声>
購入以来、寝る前などによく持ってくるお気に入りの一冊。文字が少ないのがいいらしい。画面いっぱいに描き込まれた絵を眺めながらおしゃべりする。特にお客さんが乗り降りするホームのシーンが好き。ママはオドロオドロしい妖怪の絵を心配するが、本人はさほど怖がる様子もなく見入っている。
空に舞う凧を知ったのもこの本。別ページに出てくるタコやイカとこんがらがるのか、ときどき凧のことをイカと言い間違えるのも愉快。 (2歳3か月の男の子のママ)
内田麟太郎さんと西村繁男さんは他にも『だが しかし』や『ようちえんがばけますよ』、「おでんざむらい」シリーズなど、様々な絵本でコンビを組まれていますが、初めて一緒に手がけたのが、この『がたごと がたごと』だったそうです。付き合いも長く、相性もいいという内田麟太郎さんと西村繁男さん。おふたりの化学反応から生まれるユニークな絵本の数々、ぜひ親子で楽しんでくださいね。
▼内田麟太郎さんのインタビューはこちら
「詩の心でつづる絵本の言葉」
▼西村繁男さんのインタビューはこちら
「親子一緒に絵本の中で遊んでもらいたい」
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