イチ押し絵本情報

“うし”の“うしろ”にいるのは…?(新刊絵本のご紹介 Vol.145)

2017年8月21日

毎週月曜日は、注目&話題の新刊情報をご紹介していきます!

 “うし”の“うしろ”にいるのは…?

内田麟太郎さんの詩、高畠純さんの絵による絵本『うし』が出版されました(本体1300円+税、アリス館)。

うしがうしろをふりかえったら、うしがいた。そのうしろのうしがうしろをふりかえると、やっぱりうしがいた。どこまでもどこまでも続くうし…さて、どうなる?

見開き

初出は、詩人でもある内田麟太郎さんが『こども文学の実験 ざわざわ』第2号(2016年2月、四季の森社発行)に寄稿した一片の詩。それを読んだ編集者が「ぜひ絵本にしましょう」と内田さんに連絡をしたところ、内田さんご自身も「実は絵本にしたいと思っていた」とのことで、絵本化が実現したそうです。

<作者(詩)・内田麟太郎さんからのコメント>
うしだけである。ただそれだけである。でも、とても面白い絵本なのだ。わけがわからんと本人も思うけれども、面白いのだから仕方がない。もしかしたら…かもしれない。

<作者(絵)・高畠純さんからのコメント>
絵本もいろいろ描いてきたけれど、これはまさしくぶっ飛んだ絵本である。麟太郎さんの詩を読んだとき、絵の構成の難しさを、ぐぐっと感じた。また同時にそれに挑む面白さも、ぐぐっと感じた。

詩を読んで、うしはホルスタインと決める。

「うし うしろをふりむいた」
そもそもうしはちゃんと後ろを振り向けるのか。イノシシのように、またサイのように中途半端な振り向きしかできないのではないか。そう思うと、これは実際にうしを見てみるしかない。ぼくは牧場に出かけた。目の前にうしがいる…。うし、思いっきり後ろを振り向いた。振り向いて自分の背中をベロベロなめた。

よしっ、あとは描くだけ。こんなにおかしな絵本、真剣に真面目に無表情のうしを描いた。内田麟太郎さんの詩、これを絵本にしようとした編集者に感謝しつつ、この絵本を見た読者、いかに感じるか、気になるなあ。

くり返しのリズムが楽しい内田麟太郎さんの詩と、高畠純さんのとぼけた牛が絶妙にマッチしたナンセンス絵本。ラストには「そうきたか!」と思わせるオチが待っていますよ。

▼内田麟太郎さんのインタビューはこちら
「詩の心でつづる絵本の言葉」

▼高畠純さんのインタビューはこちら
「絵をじっくり見れば、絵本はもっと楽しくなる」


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