毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、太田大八さんの『だいちゃんとうみ』。1979年に月刊「こどものとも」として発表された、第15回絵本にっぽん賞を受賞したロングセラー絵本です。
だいちゃんは、夏休みを海辺の村で過ごします。まだ暗いうちから出かけて、魚釣りをし、浜辺で食事をとり、遊んで、夕暮れは木の上のやぐらから眺めます。昭和初期の子どもの、豊かな夏の一日を描いた作品です。
130作以上の絵本と230冊以上の児童書を手掛けた太田大八さんが、「印象に残っている絵本」として挙げているのがこの作品です。描かれているのは、太田さんが子どもの頃過ごした長崎での思い出の夏。
昭和初期のことですから、祖父母の世代でも知らない方が多いかもしれません。今は失われてしまった自然や習慣と、いつの時代も変わらないのびのびと夏の一日を過ごす子どもの姿。昔のことを描きながら古びない、「懐かしさ」を呼び覚ます絵本です。
まだ夜も明けないうちから出かけ、川エビをとり、それを餌に舟で釣りをし、海辺でとった貝の炊き込みごはんと、釣った魚の刺し身で昼ごはん。何も特別なことは起こらない普通の夏の一日が、何と豊かで美しいことか。読み聞かせをしながら、こんな時間を、自分の子どもにも過ごさせてあげたいと思うのではないでしょうか。
何よりこの絵本を印象的にしているのが、長崎の海です。夜明け前から日没まで、時間を追って表情を変える海。1ページも同じ色はなく、どのページも透明感と輝きに満ちています。
裏表紙側の見返しには地図が描かれていて、この絵本に登場したいとこの家から周辺の海岸線までがわかります。読み終わった後も、もう一度地図を見ながら見返すのも楽しいかもしれませんね。
<ミーテ会員さんのお声>
『だいちゃんとうみ』は、我が町が舞台となっている自慢の絵本です。太田大八さんには長崎の代表的なお祭りを題材とした絵本『ながさきくんち』もあって、こちらも祭りの賑わいが聞こえてきそうな迫力のある絵本です。長崎の美しさ、良さを誰かに伝えたい時、この2冊を紹介しています。娘達にも何回も読み聞かせましたが、私にとっても特別な一冊です。(2歳6か月と9歳4か月女の子のママ)
作品ごとに絵の表現方法が変わるので有名な太田さん。モダンな『かさ』や、民話調の『やまなしもぎ』など、作品の表紙を並べてみるだけでも、その表現の幅の広さに驚きますよ!
▼太田大八さんのインタビューはこちら
「いい絵本で感動することこそ 子どもを育てる最良の薬」
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