イチ押し絵本情報

種を植えたら、家が咲いた!(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.127)

2017年4月13日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 種を植えたら、家が咲いた!

今回ご紹介するの絵本は、『ぐりとぐら』でもおなじみのおふたり、中川李枝子さんと大村百合子さん姉妹による『そらいろのたね』。『ぐりとぐら』のわずか4か月後、月刊「こどものとも」1964年4月号として刊行され、1967年に市販本化されたミリオンセラーです。

野原で模型飛行機を飛ばしていたゆうじは、きつねに乞われて、模型飛行機と空色の種を交換します。ゆうじが家の庭に種を埋めて水をやると、翌朝、土の中から小さな空色の家が出てきました。家はどんどん大きくなり、森の動物達が住み始めますが、それを見たきつねが家を返してとやってきて…。

見開き

種から生えてきたのが植物の芽ではなく空色の家、という驚きに続いて、おひさまの光を浴びたその家が次第に大きくなっていく…という独創的な展開に、子ども達はワクワクすることでしょう。お城のように立派になった家に続々と仲間がやってくるシーンも、何とも楽しげ。子どもが憧れる空想の世界がとても魅力的に描かれています。

きつねが「このうちは、ぼくのうちだからね」とみんなを追い出して家を独り占めした途端、家が跡形もなく消えてしまった…というラストについては、強欲なきつねに対する戒めと捉える向きもありますが、作者の中川李枝子さんはそんな教訓めいたお話にしたつもりはないようです。月刊誌『母の友』2016年6月号(福音館書店)のインタビューの中で、このように語っておられます。

「私のイメージでは、主人公のゆうじが年長組で、きつねは年中組。4歳ぐらいの子って自分のモノに執着するでしょ。だから、きつねもたぶん年長組になったら、こんなことしないの。きつねも悪い子ではありません。子ども同士のやりとりを楽しんでくれたらうれしいです」

『ぐりとぐら』や『そらいろのたね』を書いた当時、中川さんは東京世田谷区の保育園で保育士として働かれていたそうです。子ども達とじっくり向き合う毎日の中で生まれたお話だからこそ、子どもの心をとらえて離さないロングセラーとなったのでしょう。

<ミーテ会員さんのお声>
初めて『そらいろのたね』の読み聞かせをリクエストされた。2歳の息子にはちょっと早いかなと思って、あえてわたしからはおすすめしていなかった本。でも今日読んでみたら、今までの絵本と比べて長い文章だったけれど、じっと聞いていた。そして、少しママ流の解説も加えながらだけど、お話もちゃんと理解し、最後まで聞くことができた。途中、おなじみのぐりとぐらが登場したのも、うれしかったみたい。無理はしないけど、少しずつこういうストーリー性のある絵本も読んでいこうと思う。(2歳4か月の男の子のママ)

白地に空色の題字の爽やかな表紙を見て、「これ、子どもの頃に読んだことある!」と懐かしい気持ちになった方も多いことでしょう。お話の途中には、ぐりとぐらの他、『いやいやえん』のしげる、おおかみ、こぐまなどのキャラクターも登場しています。あわせてお楽しみくださいね♪


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